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ローワーイーストサイドのairbnbにお引っ越し - クラウドファンディングでニューヨークへ

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滞在していたかわいらしいアパート 1階にはブティックが入っている

やっと滞在していたウエストビレッジでの生活に慣れてきたところだったが、次の滞在先へ移動する日がやってきた。

 

ウエストビレッジからローワーイストサイドへ

 

実は、airbnbで1ヶ月もの間滞在できるアパートを探すのは至難の業だった。今回の滞在は、取材に少しでもつなげたい、現地のことをもっと知りたい、なるべく安くいい場所で滞在したいという思惑があったので、アパートをまるまる貸し切るタイプではなく、ホストか現地の同居人がいる場所を探していた。当然ながら、同居タイプは、受け入れるホストの審査も厳しくなる。

そもそもaibnbは、短期滞在者メインのサービスであるため、カレンダー上で空いている部屋もほとんどない。気に入った部屋のホストにコンタクトするものの、日程と条件が合うアパートは全く見つからなかった。

そこで、引っ越しの時間ロスを理由に一箇所に留まるという考えを捨てて、いろんな場所に住んでみることにした。万が一、部屋が良くなかった場合のリスク分散にもなる。

結局、3箇所押さえることができたものの、後半1週間分の滞在先が決まらないままニューヨークに来ることになった。最悪ホテルという選択肢もある。

 

airbnbでいいホストと巡り会うには、自分がいい滞在者であることが重要である。滞在者が部屋のレビューを見て予約を検討するように、ホストは滞在者のレビューを見て受入を判断するからだ。高いレビューが多ければ多い方がいい。

当然のことだが、ルールを守るだけでなく、また帰ってきてほしい、又は、他のホストにもおすすめできると思ってもらえるような態度滞在すれば、今後またサービスを使う時に自分にとってもプラスになる。初めて1人でairbnbを使った私には、このレビューが全くなかったので、予約が難航したのかもしれない。

後日、最初の部屋の使い方を気に入ってくれたホストが私に絶対また帰ってきてほしい、自信を持っておすすめする!ととても嬉しいフィードバックをくれた。私はなんとか初めてのいいレビューを手に入れることができた。

 

これから滞在するローワーイストサイドのアパートは、airbnbのおすすめスーパーホストで、すごい数の高いレビューがついていた。ウエストビレッジのアパートより場所の利便性は下がるが、物件としてはかなり期待が持てそうだった。

 

名残惜しいアパートを出てタクシーを捕まえ 、ローワーイストサイドへと向かった。エントランスには気のいいドアマンがいて、朝早く出かけていたホストの代わりに私を温かく迎え入れてくれた。「話は聞いてるよ!なんでも聞いてくれ!」と、笑顔で握手を求めてきてくれた彼に、心強さを感じた。

アパートは、のんびりできる屋上と小さなジムがついていて、エレベーターもある比較的新しい建物だった。部屋もベッドも前の部屋の2倍あり、大きなクローゼットもあった。共有部のキッチンもリビングも広々としていて清潔で、日本人には嬉しい土足厳禁だった。また、ニューヨークではめずらしい、洗濯機が部屋の中についていて、たっぷりと大きなバスタブのついたバスルームがホストとは別で専用にあった。ホストとちゃんと会って少し様子を見たら、すぐ交渉して滞在を最大まで伸ばしてもらうことに決めた。まさに理想的なアパートだった。

 

軽く荷物をほどいてから、お昼に約束があったので、急いでアパートを出た。SOHOで日本から会社の研修でニューヨークに来ているという、テレビ局のTさんとランチをすることになっていたのだ。同僚の方と3人でメキシカンを食べた後、何かスタートアップ関連のところに行きたいと言っていたTさんと、元々行きたいと思っていたニューヨークのスタートアップのショールームストアを見て回ることにした。

 

D2Cメガネブランド ウォービーパーカー

ニューヨークには、インターネット発のブランドスタートアップがたくさんある。そして、このビジネスモデルを作り出し、最初に大きな成功を収めたのが、ウォービーパーカーというメガネブランドである。(2015年には、fast companyに最も革新的な企業として1位に選ばれている)

ブランドスタートアップは、ダイレクトトゥーコンシューマー(D2C)という、その名の通り自分たちで生産したものを直接消費者に販売するビジネスモデルで、販売はオンラインをベースにしている。直接販売するため、ユーザーのニーズを取り込み、中間マージンを排除したリーズナブルな価格で顧客に訴求できるのが強みだ。インターネットで購入することに特化しデザインされた現代版ブランドとも言える。

ウォービーパーカーの場合、95ドルを基本としたリーズナブルな価格でファッショナブルなフレームを多数展開し人気を得ているが、オンラインで全て完結させることに徹底特化した通販設計がこれまでのブランドや通販と全く違う。例えば、お店に行かなくてもメガネが試着できるよう、自宅に気になったフレームを5つ取り寄せて試せるようなサービスがあることや、ソーシャルメディアを活用したマーケティング、オンラインと同じような考え方で作られたショールームストアなどがある。

 

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ウォービーパーカーのショールームストアのインテリアは図書館のイメージ

 

Tさんと一緒に、新しくできたというハイラインにあるウォービーパーカーのストアを見に行った。図書館をイメージさせる店内の本棚に、メガネがコレクションごとにきれいに展示され、自由に試着ができるようになっていた。棚の下の部分では、何種類かの本が購入できる形で展示されていたので、彼らはメガネを本のように「知」を身につけられるアイテムだと表現したいのだなと感じた。

アメリカでメガネを作るには処方箋的なものが必要である。このストアでも予約するか待てば、専任の人がその場で作成してくれるサービスもあったが、基本的に仕上がるまでに2週間程度かかるということで、私はメガネを作ってみるのを断念した。その代わりサングラスは、在庫があればその場で購入もできるということだったので、試しに一つ購入してみることにした。面白いのは購入時にiPadでアカウント登録し、そこで決済。履歴はアカウントに残り、レシートはメールで来るということだった。

 

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ウォービーパーカーのテーマカラー、ウォービーブルーのディスプレイ自転車が入り口に

 

ウォービーパーカーは、元々実物を見たいという声が多かったため、オフィスの片隅にショールーミングスペースを作ったのが発端で、ブランドの成長と浸透に合わせて、ストアをニューヨークの主要スポットに増やしていった経緯があるが、基本的に在庫は一括管理しそこから発送され、ストアでは試着とショールーミングが主目的になっている。空間を効率的に使うことで、コストを抑える方法もブランドスタートアップの特徴の一つである。

リーズナブルな価格ながら、丁寧な接客とブランドの世界観やサービスの体験を表現するストアは、顧客体験を大きく向上させることにつながっているようだ。

 

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メイカーボットのショールームストア(2016年現在は撤退)プリント用のカラフルな素材が壁に

 

取材するにあたって、ネットで見た情報だけでなく、現地調査が重要だとは思っていたが、この体験でその思いをさらに強くしたので、もう一件行ってみることにした。

家庭用の3Dプリンターと素材を販売する、メイカーボットショールームストアだ。まだまだ3Dプリンターは一般消費者の生活に浸透しているものではなく、家庭用といっても1000〜2500ドルの高額な機械なので、プリントしたもののクオリティやプリンターそのものを実際に見てもらえる場が必要と、オープンに至ったそうだ。

500円程度で買える小さなおもちゃが入ったガチャガチャがあったり、3Dプリンターで作った腕時計などの購入可能な小物の他に、科学やニューヨークをテーマにした様々なものがたくさん展示されていて、見ているだけでとても楽しかった。実際プリント中の機械を見られるのもこの場所ならではである。

 

ウォービーパーカーにしろ、メイカーボットにしろ、こんな場所はまだ日本にない。新しいものが生まれてから、実際にビジネスとして成立するまでの時間もチャレンジも、圧倒的にアメリカの方が早いのだろう。アメリカは数年先を行っている、というのは本当だなと思った。

 

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3Dプリントされたマネキンと服


MADと3Dプリンター

 

メイカーボットで未来を感じて気分を良くした私は、ジャーナリストのnobiさんおすすめの美術館 Museum of Arts and Design(MAD)にそのまま行ってみることにした。

中身が定期的に入れ替わる、美術館の展示は巡り会わせ。何をやっているかと思ったら、なんとタイムリーにも3Dプリンターを使った作品のエキシビション「Out of Hands」を開催していたのだった。

プラスチック、陶器、メタルなどの素材別のオブジェにはじまり、椅子や食器、壁を飾るインテリア用品、洋服や靴、ジュエリーなど実用的なものから実験的なものまでかなり幅広く展示されていた。

 

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3Dプリントされた美しいパンプス

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幾何学的なデザインの照明器具的なもの

 

メイカーボットに行った時は、3Dプリンターでオブジェ以外に何を作るのだろうとあまりピンと来てない部分があったが、既に着実に実用に向かって様々なものが作られていることを知ってちょっと衝撃を受けた。実用面でもデザインの面でも、これまでのものづくりの常識が変わり、全く新しいものが出てくることになるかもしれない。ワクワクする展示だった。

 

 

(つづきは以下)

ehara.blog.houyhnhnm.jp