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ニューヨークの日本人起業家と出会う - クラウドファンディングでニューヨークへ

f:id:hynm_rie_ehara:20161013010649j:plain気持ちのいい朝、ニューヨークにはイエローキャブがほんとによく似合う

 

ランドセントラルでハードウェア系スタートアップと出会う

 

前日、Tokyo New Cinemaの木ノ内さんにいろいろお世話になった私。この日の朝も、スタートアップで働く友達と朝食することになったので一緒にどうかと誘ってもらった。

指定された場所は、ニューヨークから地方や他州への長距離路線が乗り入れるグランドセントラルの駅にあるPershing Square。クラッシックな雰囲気のダイナーは、駅の高架下にあるため、忙しいニューヨーカーと観光客でにぎわっていた。

やりとりがうまく行かず到着が遅れてしまった私は、残念ながらSonic Notify(現在はSignal360に改名)でビジネスディベロップメントとして働くLevとは挨拶くらいしかできる時間がなかったが、嬉しいことに木ノ内さんが私の滞在中どこかで話ができるよう繋ぎ直してくれることになった。

 

映画業界で働く人の友達がことごとくスタートアップで働いているだなんて、出発前に想像できたであろうか…。どこでどんな縁に繋がるのか分からないものだ。

しかし、後に気付くことになるのだが、それくらいニューヨークでスタートアップシーンが急成長し地位を確立しつつあるということだろう。東海岸のハイレベルな大学を出た多くの理系やビジネス系の学生は、狭き門である第一希望の大企業への内定が得られなかった場合、どんどんスタートアップを志向するようになってきている。若いチーム、自由なワークスタイル、多様で楽しさのあるカルチャーを持つスタートアップは、ニューヨークで働きたい若者にとって理想的な職場とも言える。

 

アート業界で挑戦する日本人起業家 藤高さん

この日帰国するというTokyo New Cinemaの木ノ内さんと映画監督の中川さんと別れ、ランチの約束のためダウンタウンに向かった。ニューヨークで上位に入るハイセンスなホテルで、その名の通りBowery通りに面したバワリーホテルの1階にあるレストランGEMMAが待ち合わせの場所だった。

ちなみにニューヨークのホテルのレストランやカフェ、バーは、ホテル滞在者でなくても利用できるオープンなものがほとんどで、どこも割と価格はリーズナブルでハイセンスなのでおすすめである。

 

ニューヨークアートビートというアート情報メディアを運営する藤高さん(現在藤高さんはスマートニュースにジョインし、奥さんがメディアを運営)は、東京のアート情報メディアである東京アートビートの創業者の一人で、結婚を機にニューヨークに移住し、同じようなメディアのニューヨーク版を立上げたそうだ。

アートの本場ニューヨークで、アウトサイダーである日本人がメディアを立上げるというのは、非常に野心的な挑戦だ。実際、なかなか中に入れず苦労することも多かったそうだ。彼もニューヨークに来たばかりのころは、スタートアップ系の人ともっと交流があり、いろいろ一緒にやろうとしたりしたそうだが、結局アート業界の日本人からの需要が大きくなり、コーディネートや企画などリアルな仕事の割合が大きくなっていったそうだ。

 

f:id:hynm_rie_ehara:20161207155054j:plainアート関係者が運営しているハイセンスなシェアオフィス

 

ランチの後は、すぐ近くにあるという藤高さんが入居するシェアオフィスを案内してくれた。アート関係者が運営しているというオフィスには、ビンテージな家具や置物がセンス良く配置されていて、とても素敵な空間だった。一つ一つの本や小物にもこだわりがかなりあるらしく、貴重なホールアースカタログなんかも置いてあった。前日訪問したto.beのオフィスもそうだったが、こういう空間に刺激を受けて働ける環境は日本にももっと増えるといいと思った。

久しぶりにスタートアップの話題をしたという藤高さん、誰か紹介できるかもしれないということで、久しぶりに昔付き合いのあった知り合いに連絡を取ってみてくれることになった。少しでも多く取材できないと帰れません!助けてください!という私の必死さもあったかとは思うが、ここでも「自分ができることは応援しますよ」というペイフォワード的な態度に触れてとても感激した。

 

f:id:hynm_rie_ehara:20161207144728j:plainグラフィティだらけのオフィスの入り口に立つ藤高さん

 

すっかり話し込んでしまった藤高さんと別れて、次の予定までは一旦滞在しているウエストビレッジに向かって歩きながら街を散策することにした。ニューヨークはどこへ行っても共通の雰囲気があるが、同時にエリアによって雰囲気が全然違うのも面白いところである。

うっすらハロウィン色に染まった街を歩くのはとても楽しい。ニューヨーク大学の近くやハロウィン限定の仮装グッツ屋さんなどを覗いて次の目的地を目指した。

 

ファッション業界で挑戦する日本人起業家 矢野莉恵さん

ニューヨークのスタートアップシーンを取材するプロジェクトを立上げてから、絶対に会った方がいいと何人もから紹介をもらった人がいる。ハーバードビジネススクール時代の友人とファッションスタートアップMaterial Wrld(マテリアルワールド)を立上げた矢野莉恵さんである。

三菱商事就職後、MBA取得のため渡米し、そのまま米国のCoachでデジタルマーケティング局でキャリアを積んでファッションビジネスで起業したという女性起業家だ。拠点もターゲットもニューヨークの競合スタートアップと全く同じ、チャレンジングな分野で挑戦する数少ない日本人でもある。

 

f:id:hynm_rie_ehara:20161207144733j:plainMaterial Wrldのオフィスの一角(現在ロゴ等、ブランディングは一新されている)

 

Material Wrldは、C2Cで共有したクローゼットの中身を購入できるというサービスでスタートしたが、思った通りに成長させることができず、その後試行錯誤をした上で、古いブランドアイテムを引き取って新しいものを購入できるクーポンに変えるという方法に手応えを感じ、それを伸ばす方向で動いているということだった。やっと少しづつ在庫を持つということをはじめ、初めて単独オフィスを構えることができるくらいになったそうだ。(2016年現在、このピボットした戦略で見事に成長している)

 

Material Wrldについて話を聞いた後、彼女にニューヨークのスタートアップのトレンドについても聞いてみた。自分も相当いろんなことを調べて現地に向かってはいたが、やはり現地現役の情報の鮮度や質は違う。狭い住宅環境を快適にするための出し入れが容易なリアル版ストレージサービスMake Spaceや、1回分の食事用だけの材料を特殊な調味料を含めて送ってくれるレシピ付きのBlue ApronPlatedなどのデリバリーサービスなど、ニューヨークのライフスタイルに合わせて多様化したオンデマンドビジネスが一つのトレンドになっているようだった。ハイタッチでフレキシブルなサービスが、忙しい都市生活者に受入れられているのだそうだ。

そして、この後なんとそのスタートアップの一つPlatedの1周年記念パーティーに連れて行ってくれるという。

 

f:id:hynm_rie_ehara:20161208161730j:plainPlated の入居する素敵すぎるシェアオフィス

 

矢野莉恵さん、Material Wrld 共同創業者のJieと一緒に、昔同じオフィスだったというPlatedが入居する新しいオフィスへと向かった。

さて、実は日本でもパーティーと異業種交流が苦手な私…。スタートアップ関係者で溢れかえり、早口の英語で盛り上がる会場に圧倒される一方で、彼女達は次から次へといろんな人と楽しそうに談笑しており、アメリカでやっていくにはこういうコミュニケーションが最低でも取れないとダメだなと、一気に重たい気持ちになった。

それでも、何人かと話をすることができ、そのうちの一人は取材も受けてくれるということになった。

 

f:id:hynm_rie_ehara:20161208161734j:plain1周年祝いのケーキはブランドカラーの赤

 

前日から、紹介を得る機会が急激に増え、予想外の協力姿勢に驚きの連続ではあったが、同時に紹介の概念もまた少し日本と違うことに気がついた。

割と日本では誰か紹介する場合、同席して直接きちんと紹介することが多いと思うが、アメリカの場合紹介メールを書くが、その後は自力でどうにかすること!というのが基本スタンスなのだ。パーティーなどでも、名前までは紹介してくれるが自分のことは自分で話して話題を発展させていかなければならない。当然といえば当然でもあるのだが、自分について積極的に話すことを日頃やってない人間にとって、これをひたすらやることは結構ハードルが高い。

 

あっという間に過ぎていく時間と、二度と訪れないチャンスを逃さないよう自分の意識や行動をもっと変えていかなければならないなと、パーティーの後颯爽とイエローキャブを捕まえて去っていく莉恵さんの後ろ姿を見て思った。

 

 

(つづきは以下)

ehara.blog.houyhnhnm.jp