ニューヨークの日本人起業家と出会う - クラウドファンディングでニューヨークへ

f:id:hynm_rie_ehara:20161013010649j:plain気持ちのいい朝、ニューヨークにはイエローキャブがほんとによく似合う

 

ランドセントラルでハードウェア系スタートアップと出会う

 

前日、Tokyo New Cinemaの木ノ内さんにいろいろお世話になった私。この日の朝も、スタートアップで働く友達と朝食することになったので一緒にどうかと誘ってもらった。

指定された場所は、ニューヨークから地方や他州への長距離路線が乗り入れるグランドセントラルの駅にあるPershing Square。クラッシックな雰囲気のダイナーは、駅の高架下にあるため、忙しいニューヨーカーと観光客でにぎわっていた。

やりとりがうまく行かず到着が遅れてしまった私は、残念ながらSonic Notify(現在はSignal360に改名)でビジネスディベロップメントとして働くLevとは挨拶くらいしかできる時間がなかったが、嬉しいことに木ノ内さんが私の滞在中どこかで話ができるよう繋ぎ直してくれることになった。

 

映画業界で働く人の友達がことごとくスタートアップで働いているだなんて、出発前に想像できたであろうか…。どこでどんな縁に繋がるのか分からないものだ。

しかし、後に気付くことになるのだが、それくらいニューヨークでスタートアップシーンが急成長し地位を確立しつつあるということだろう。東海岸のハイレベルな大学を出た多くの理系やビジネス系の学生は、狭き門である第一希望の大企業への内定が得られなかった場合、どんどんスタートアップを志向するようになってきている。若いチーム、自由なワークスタイル、多様で楽しさのあるカルチャーを持つスタートアップは、ニューヨークで働きたい若者にとって理想的な職場とも言える。

 

アート業界で挑戦する日本人起業家 藤高さん

この日帰国するというTokyo New Cinemaの木ノ内さんと映画監督の中川さんと別れ、ランチの約束のためダウンタウンに向かった。ニューヨークで上位に入るハイセンスなホテルで、その名の通りBowery通りに面したバワリーホテルの1階にあるレストランGEMMAが待ち合わせの場所だった。

ちなみにニューヨークのホテルのレストランやカフェ、バーは、ホテル滞在者でなくても利用できるオープンなものがほとんどで、どこも割と価格はリーズナブルでハイセンスなのでおすすめである。

 

ニューヨークアートビートというアート情報メディアを運営する藤高さん(現在藤高さんはスマートニュースにジョインし、奥さんがメディアを運営)は、東京のアート情報メディアである東京アートビートの創業者の一人で、結婚を機にニューヨークに移住し、同じようなメディアのニューヨーク版を立上げたそうだ。

アートの本場ニューヨークで、アウトサイダーである日本人がメディアを立上げるというのは、非常に野心的な挑戦だ。実際、なかなか中に入れず苦労することも多かったそうだ。彼もニューヨークに来たばかりのころは、スタートアップ系の人ともっと交流があり、いろいろ一緒にやろうとしたりしたそうだが、結局アート業界の日本人からの需要が大きくなり、コーディネートや企画などリアルな仕事の割合が大きくなっていったそうだ。

 

f:id:hynm_rie_ehara:20161207155054j:plainアート関係者が運営しているハイセンスなシェアオフィス

 

ランチの後は、すぐ近くにあるという藤高さんが入居するシェアオフィスを案内してくれた。アート関係者が運営しているというオフィスには、ビンテージな家具や置物がセンス良く配置されていて、とても素敵な空間だった。一つ一つの本や小物にもこだわりがかなりあるらしく、貴重なホールアースカタログなんかも置いてあった。前日訪問したto.beのオフィスもそうだったが、こういう空間に刺激を受けて働ける環境は日本にももっと増えるといいと思った。

久しぶりにスタートアップの話題をしたという藤高さん、誰か紹介できるかもしれないということで、久しぶりに昔付き合いのあった知り合いに連絡を取ってみてくれることになった。少しでも多く取材できないと帰れません!助けてください!という私の必死さもあったかとは思うが、ここでも「自分ができることは応援しますよ」というペイフォワード的な態度に触れてとても感激した。

 

f:id:hynm_rie_ehara:20161207144728j:plainグラフィティだらけのオフィスの入り口に立つ藤高さん

 

すっかり話し込んでしまった藤高さんと別れて、次の予定までは一旦滞在しているウエストビレッジに向かって歩きながら街を散策することにした。ニューヨークはどこへ行っても共通の雰囲気があるが、同時にエリアによって雰囲気が全然違うのも面白いところである。

うっすらハロウィン色に染まった街を歩くのはとても楽しい。ニューヨーク大学の近くやハロウィン限定の仮装グッツ屋さんなどを覗いて次の目的地を目指した。

 

ファッション業界で挑戦する日本人起業家 矢野莉恵さん

ニューヨークのスタートアップシーンを取材するプロジェクトを立上げてから、絶対に会った方がいいと何人もから紹介をもらった人がいる。ハーバードビジネススクール時代の友人とファッションスタートアップMaterial Wrld(マテリアルワールド)を立上げた矢野莉恵さんである。

三菱商事就職後、MBA取得のため渡米し、そのまま米国のCoachでデジタルマーケティング局でキャリアを積んでファッションビジネスで起業したという女性起業家だ。拠点もターゲットもニューヨークの競合スタートアップと全く同じ、チャレンジングな分野で挑戦する数少ない日本人でもある。

 

f:id:hynm_rie_ehara:20161207144733j:plainMaterial Wrldのオフィスの一角(現在ロゴ等、ブランディングは一新されている)

 

Material Wrldは、C2Cで共有したクローゼットの中身を購入できるというサービスでスタートしたが、思った通りに成長させることができず、その後試行錯誤をした上で、古いブランドアイテムを引き取って新しいものを購入できるクーポンに変えるという方法に手応えを感じ、それを伸ばす方向で動いているということだった。やっと少しづつ在庫を持つということをはじめ、初めて単独オフィスを構えることができるくらいになったそうだ。(2016年現在、このピボットした戦略で見事に成長している)

 

Material Wrldについて話を聞いた後、彼女にニューヨークのスタートアップのトレンドについても聞いてみた。自分も相当いろんなことを調べて現地に向かってはいたが、やはり現地現役の情報の鮮度や質は違う。狭い住宅環境を快適にするための出し入れが容易なリアル版ストレージサービスMake Spaceや、1回分の食事用だけの材料を特殊な調味料を含めて送ってくれるレシピ付きのBlue ApronPlatedなどのデリバリーサービスなど、ニューヨークのライフスタイルに合わせて多様化したオンデマンドビジネスが一つのトレンドになっているようだった。ハイタッチでフレキシブルなサービスが、忙しい都市生活者に受入れられているのだそうだ。

そして、この後なんとそのスタートアップの一つPlatedの1周年記念パーティーに連れて行ってくれるという。

 

f:id:hynm_rie_ehara:20161208161730j:plainPlated の入居する素敵すぎるシェアオフィス

 

矢野莉恵さん、Material Wrld 共同創業者のJieと一緒に、昔同じオフィスだったというPlatedが入居する新しいオフィスへと向かった。

さて、実は日本でもパーティーと異業種交流が苦手な私…。スタートアップ関係者で溢れかえり、早口の英語で盛り上がる会場に圧倒される一方で、彼女達は次から次へといろんな人と楽しそうに談笑しており、アメリカでやっていくにはこういうコミュニケーションが最低でも取れないとダメだなと、一気に重たい気持ちになった。

それでも、何人かと話をすることができ、そのうちの一人は取材も受けてくれるということになった。

 

f:id:hynm_rie_ehara:20161208161734j:plain1周年祝いのケーキはブランドカラーの赤

 

前日から、紹介を得る機会が急激に増え、予想外の協力姿勢に驚きの連続ではあったが、同時に紹介の概念もまた少し日本と違うことに気がついた。

割と日本では誰か紹介する場合、同席して直接きちんと紹介することが多いと思うが、アメリカの場合紹介メールを書くが、その後は自力でどうにかすること!というのが基本スタンスなのだ。パーティーなどでも、名前までは紹介してくれるが自分のことは自分で話して話題を発展させていかなければならない。当然といえば当然でもあるのだが、自分について積極的に話すことを日頃やってない人間にとって、これをひたすらやることは結構ハードルが高い。

 

あっという間に過ぎていく時間と、二度と訪れないチャンスを逃さないよう自分の意識や行動をもっと変えていかなければならないなと、パーティーの後颯爽とイエローキャブを捕まえて去っていく莉恵さんの後ろ姿を見て思った。

 

 

(つづきは以下)

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いきなり訪れた予想外の展開 - クラウドファンディングでニューヨークへ

f:id:hynm_rie_ehara:20161110132540j:plain彫刻作品がたくさんあるMoMAの中庭

 

素敵な公共図書館を出て、気分が良くなった私は、その足でニューヨーク近代美術館MoMAに向かった。

 

初めてのアート体験 ニューヨーク近代美術館 MoMA

 

ダンなアートとフラワーアレンジメントでセンス良く彩られたエントランスを抜けると、気持ちのいい吹き抜けが広がっていた。ガラスの向こうには、彫刻作品が展示されている美しい中庭が続いており、建物に入ってから既にこの場所の虜になりつつあった。

美術館の最上階である6階で、ちょうど空に浮いた岩などシュールな作品で知られるマグリッドの特別展をやっていたので、そこから下に降りながらまわってみることにした。

ピカソゴッホ、モネ、シャガールマティスといった誰もが知っているような有名な画家の作品が至る所に展示されているだけでなく、モンドリアンなどのミニマルアート、ニューヨークを代表するポップアートの旗手アンディ・ウォーホルの作品が大量に展示されており、想像をはるかに超えるボリュームと質の作品群に感嘆の連続だった。

 

出発前、ニューヨークを知るために、何人もの人にアート関連の場所も絶対行った方がいいとアドバイスをもらっていたが、なぜ行くべきかやっと行ってみて分かった。アートがこの街の人に与える影響というのは、とてつもなく大きいのだ。

 

高揚した気持ちのまま一旦帰宅し、しばらく繋がってなかったネットに接続してあることに気がついた。 なんとこの日もう一件、人と会う予定を入れていたのだった…!映画祭に作品を出すためにボストンとニューヨークに来ているという映画制作会社の人だった。痛恨のミス!すぐさまお詫びの連絡を入れると、良かったら明日の朝朝食でもどうですかと快くリスケに応じてくれた。

 

翌朝、約束を取り直した映画制作会社Tokyo New Cinema社長の木ノ内さんと映画監督の中川さんの滞在するホテルまで向かった。このお二人も全くの初対面。偶然何かで知って私のプロジェクトを支援してくれたというPRの杉山さんが、同じタイミングでニューヨークにいる二人を紹介したいと繋いでくれたのだった。

ホテルで朝食を食べながら、軽く自己紹介し、私のプロジェクトについてもきちんと説明した。木ノ内さんは、生まれは北海道ではあるものの、大半の学校生活はボストンでつい最近までハーバードで網膜の研究をしていたという興味深い過去を持つ人だった。また、映画を既に2本制作している中川さんはなんとまだ学生ということだった。若くして独自の方法で映画業界で奮闘する二人におおいに刺激を受けた。

 

空き時間でも気軽に行けるメトロポリタン美術館

 

朝食後、メトロポリタン美術館(THE MET)に行く予定だった二人は、それにも一緒にどうかと誘ってくれたので、同行させてもらうことにした。

f:id:hynm_rie_ehara:20161110132621j:plainとても美しいメトロポリタン美術館の吹き抜け彫刻展示スペース

 

建物そのものがドラマチックで壮大なメトロポリタン美術館。クラッシックなエントランスには、建物に見事にマッチした花が豪快に活けてある。そのスケールに圧倒されつつ中に入る。

メトロポリタン美術館の入場料は、美術館の希望額ベースで提示されてはいるが、自分のその時々の事情に合わせて好きな金額で入ることができる。アートになるべく多く広く深く触れてもらうために取られたこの料金システム、本当に素晴らしいと思う。実際この日午前しか時間がなかった私も、高い入場料を払って行くのをためらっていたので、このシステムのおかげで助かった。

あらゆる時代の地域や文化を網羅した幅広いコレクションを持つメトロポリタン美術館は、きっちり回ると数日かかるとも言われている。私達は、ギリシャサイドからまわることにした。テーマごとに分けられた美しい彫刻作品は、異なる趣向を凝らされた空間に見事にマッチしており、まるでその時代にいるかのような気分になった。ギリシャを見終え、少し現代アートを見た頃に私はタイムアウトとなり、この旅初めての取材先へと向かった。

 

ニューヨークスタートアップへの初取材

 

はじめての取材は、to.beというインターネットコラージュサービスをリリースしたばかりのスタートアップだった。画像や音楽、動画などをWEB上の巨大キャンバスに自由にコラージュできるというものだ。感覚的なインターフェイスと、ユーザーによって作りだされたユニークな作品群に触れて、ニューヨークでしか生まれないタイプのスタートアップの一つなのではないかと、どうしても会ってみたかった。

彼らとは全く接点がなかったので、サービスを使いまくってフィードバックを送ったり、自分で作った作品をtweetしたりして相手の反応を待ち、反応が返ってくるようになった時を見計らって、取材させてほしいという打診をしてみたところ快諾してもらうことができたのだった。

 

f:id:hynm_rie_ehara:20161206154757j:plaindis magazineとのコラボレーションリリース日で忙しそうなto.beのオフィス

 

マンハッタンは、ダウンタウンの東側、イーストビレッジと呼ばれるところにオフィスを構えるto.be。小さくてチャーミングな公園、トンプキンソンズスクエアパークの傍に立地している。

はじめてのニューヨークスタートアップの訪問とあってかなり緊張していた私だったが、創業者のNickは私をあたたかく迎え入れてくれた。

 

取材については、知りたいことがたくさんあったのであまり不安はなかった。基本的に創業者のこれまでの仕事やバックグラウンド、どうやって着想を得たのか、どういう風にユーザーを集めているのか、開発で心がけていることなどをベースに、対話の中で気になったことを聞いていった。

Nickは、イギリス系スペイン人で元々は弁護士だった。また、過去に日本で音楽系のプロデュース会社を経営していたこともあったそうだ。その後ニューヨークに移住し、to.beの開発にあたってニューヨークの有名シード投資会社から資金を集めてスタートアップをはじめたそうだ。

to.beに関しては、日経ビジネスのコラムでこの時のことを詳しく書いているので良かったら読んでみてほしい。

business.nikkeibp.co.jp

彼と話をして最も印象に残ったのは、テキスト(文字)での表現が得意な人に圧倒的に利があるインターネットの世界を、もっとビジュアルが得意な人達が活躍できるように変えたいというものだった。こういう角度からサービスをデザインする

やっぱり来て良かった、来ないと分からないことの方が圧倒的に多いと実感した。

Nickは、好きなだけいていいし、写真も自由に撮っていいよと言ってくれたので、しばらく彼らの仕事する様子を見学させてもらうことにした。ちゃっかり、ランチにピザまでごちそうになった私。また、帰り際には、私のプロジェクトを手伝おうとなんとNickおすすめのスタートアップ関係者に紹介メールを書いてくれるという。

来る前、3つしかアポが取れていなかった私には思ってもない申し出だった。しかも、彼が口にしたのは私が会ってみたいスタートアップだったのだ!

 

加速する予想外の展開 ボストンのスタートアップとの出会い

 

最高の気分で最初の取材を終えた私は、そのまま歩いてダウンタウンの中心地であるユニオンスクエアを散策することにした。現地の日本人が集まる映画のイベントに軽く顔を出した後、午前中に会っていた木ノ内さんから、おそらく今夜食事する大学寮が同じだった友達がスタートアップで働いてるらしいので一緒にどうかと連絡をくれた。

レストランに向かうと、そこにいたのはFlight Carという空港に置いてある車をシェアするサービスの共同創業者の一人であるShriだった。(Flight Carは2014年にシャットダウン、技術はメルセデス社に売却している。)Y Combinatorに参加し、Flight CarのCTOとしてボストンで開発をしているという彼は、なんとまだ19歳だった。

当時、airbnbuberくらいしか知らなかった私だが、アメリカではシェアリングエコノミーが多様化し、市場規模のスケールが違うマーケットもまた多様に存在することを知った。これもアメリカに来ないと気付かなかったビジネスの一つである。

 

来るまで一人も知り合いがいなかったニューヨークで、ボストン時代の話を聞いたりしながら、一緒に楽しく食事をしている自分の状況が信じられないような感じで、少し面白くも思えた。

あっという間に誰かに繋がったりと、嬉しい予想外の展開が連続した滞在3日目だった。いよいよ楽しくなってきた!

 

(つづきは以下)

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airbnbで取材生活開始 - クラウドファンディングでニューヨークへ

f:id:hynm_rie_ehara:20161014145108j:plain遊歩道がビーチ沿いに続くブライトンビーチ

 

ニューヨークのスタートアップを取材するためのクラウドファンディングが、予想以上の反響で成功し、多くの人の応援を受けるかたちで日本を出発した私は、初めてニューヨークの地に足を踏み入れた。

早朝に到着してからまず私は、airbnbのホストから鍵を受け取るために、イエローキャブでブルックリン最南端に位置するブライトンビーチへ向かった。ホストは料理系のライターで、普段はマンハッタンで女性3人で共同生活していて、時々アパートの自分の部屋を空けてairbnbで人に貸し、その間気持ちのよい場所を借りて執筆活動をしているということだった。

初めての目的地が秋のニューヨークのビーチ!海辺を散歩しながら、最初から予想外の展開に、これから始まる予測不能な日々を想像してますます期待が高まった。

 

ウエストビレッジ滞在先のアパートの近くの風景

 

最初の滞在先に選んだのは、ローワーマンハッタンの西側にあるウエストビレッジ。あの映画やドラマでよく見る外に階段のついたアパート、タウンハウスが立ち並び、建物の趣を活かしたセンスのいいお店やレストランが集まる閑静なエリアだ。タウンハウスと木々が作り出す風景がなんとも素敵で、うっとりさせられる。最寄りは様々な路線が乗り入れている利便性の高い駅で、SOHOにも徒歩圏内の抜群の立地と、古き良きものと新しさが同居する貴重な場所だ。

私の滞在するアパートもブティックの上にあって、4.5畳程度の小さな個室が私の部屋だった。共有のキッチンとダイニング、シャワーだけのバスルームがあって、シャワーはルームメイトの一人と共有。シンプルなワードローブと、街の雰囲気とどこか似通った感じの趣味のいい小さなアパートから、私の取材活動はスタートした。

 

ニューヨークのスタートアップについてはある程度知識があった一方、ニューヨークそのものについてほとんど何も知らないまま慌ただしく日本を離れてしまった私。アメリカ本土にやってきたのも、観光以外で訪れるのも15年以上ぶりだった。

近所を散策し、なんて素敵なところなんだ!と感激した一方、たった一人で知り合いが全くいない場所にやってきたことが無謀に思えてきて急に少しだけ不安になった。

 

仮眠を取った後、はじめての予定に向けて支度をはじめた。こんなこともあろうかと、ニューヨークに9年住んでいるという友達の友達と食事する予定を初日の夜に入れていた。

彼女は、ありがたいことにアパートの下まで向かえに来てくれるという。到着の知らせに下に降りて行くと、キラキラした笑顔の女性が待っていた。彼女は、あっという間に私の緊張感を解いてくれ、近くのおいしいと評判のイタリアンへと案内してくれた。

彼女の名前はあずみちゃん。主にファッション誌向けのライターをやっていて、自分で映画を作ったりもしているという。9年も住んでいるという、ニューヨークの生活に関していろんなことを教えてもらいつつ、作っている映画の話や恋愛の話など、常に行動し続ける彼女に刺激を受けまくり、とにかく話がつきなかった。彼女は、全くスタートアップとは接点がなく、何も役に立てないけどりえちゃんなら絶対大丈夫!と言ってくれた。初日にこんな存在ができたことは、本当にラッキーだった。

 

翌朝、シャワーを浴びてから、料理系ライターであるairbnbのホストがおすすめしてくれた、Clunyで朝食を取った。West Villageの良さを凝縮したような雰囲気の場所でベーグルサンドをいただく。おしゃれで行き届いたサービスをしてくれるウェイターが、私の気分をより盛り上げてくれた。

秋晴れの気持ちよい日、そのままそこから歩けるハイラインへ向かうことにした。ハイラインは、廃線にになった線路を活用した空中公園で、マンハッタンの西端側、ミートパッキングと呼ばれるトレンディなホテルやショップが集まるエリアから、北に線路に沿って作られている。遊歩道沿いにはたっぷりと様々な草花が植えられているだけでなく、ところどころにアートが置かれたり、趣向が凝らされた休憩所やベンチが随所に配置されており、西側のハドソン川と東側のマンハッタンの景色と共に、歩くたびにその変化が楽しめる最高の散歩のための公園である。

f:id:hynm_rie_ehara:20161108165321j:plain様々な草花が遊歩道を彩る。右端下など、ところどころに鉄道の跡が残る

f:id:hynm_rie_ehara:20161108165314j:plainエンパイアステートメントビルと老舗ハイラインホテルが見えるお気に入りのスポット

夢中で写真を撮りながら、散歩を楽しむこと1時間。茶色い建物が立ち並ぶビル群の間を黄色いタクシーが忙しく走り抜ける様子をあちこちで見て、なるほどこれがよく見るニューヨークの風景かと、心にしっくりきた。

 

それからお昼は、今回の取材に協力してくれるというニューヨークに住む日本人女性と会うためにコリアンタウンに向かった。この時点ではまだ携帯通信環境がないままで、待ち合わせ場所が主要な場所ではない交差点という、日本だとあまりない指定に不安いっぱいだったが、すんなり会うことができた。

起業準備中のさとこちゃんは、これまた笑顔が素敵な女性だった。

ランチに連れて行ってもらったのはコリアンデリで、特に何か素敵というわけではなく、割とおいしく安くてチップいらない最高にコスパのいい場所であった。なるほどこうやってやりくりするのか、と、その日の朝食に3,000円近く支払って財布を心配していた私は生活のこつを学ばせてもらった。

さとこちゃんは、他にもニューヨークのテック系で働く日本人とつながりがあり、その人達ともつなげてくれるという。取材ターゲットにしていたような企業で働いている人はいないようだったが、ニューヨークに住んでいる数少ないテック系の日本人がどういう生活を送っているかも参考になると思ったので、とてもありがたい。また紹介の機会を調整して連絡をくれるということで、解散した。

 

その後、さとこちゃんに教えてもらった、公共図書館へ向かった。ハリーポッターの世界のような図書館が、無料で見学もできるという。

 

f:id:hynm_rie_ehara:20161109023632j:plainゴージャスな図書館の中。アメリカの社会保障番号があれば、外国人でも利用できるそうだ

 

ここまで、順調に予定をこなしてきた私。この後、初めてやらかしてしまうのである…。

 

(つづきは以下)

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Disco Curly Fries アマゾンファッションウィークトウキョウに参加

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本日からスタートしたアマゾンファッションウィークトウキョウに、私がお手伝いしている、現代アーティストの作品を使ってTシャツやキャンバスをウェブでデザインできる Disco Curly Fries(ディスコカーリーフライズ)が参加することになりました。

 

amazonfashionweektokyo.com

 

ディスコカーリーフライズは、これまで伊勢丹で展示を行ったりもしましたが、参加アーティストの全員の実物商品を全て見ることができるのは今回だけです。POPUP SHOPで気に入ったものが見つかれば、その場で購入も可能です。

 

また、明日18日には、ファッションウィーク参加を記念してどなたでも参加できるパーティーを開催しますので、お気軽にお越し下さい。

 

Disco Curly Fries - Amazon Fashion Week Tokyo Night

日時:10/18(火) 18:00 - 21:00

場所:東京都渋谷区渋谷3丁目28-8 第3久我屋ビル7F

(渋谷駅新南口徒歩1分。ビルの7階に上がって頂ければ、すぐです)

参加:自由 無料

詳細:Disco Curly Fries - Amazon Fashion Week Tokyo Night

ニューヨークファッションウィーク2016 - NYFW後編

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NYFW メイン会場の一つ The Gallery, Skylight Clarkson Sqのエントランス(写真がいまいちだったので白黒でごまかしてます…)

 

前編でも少し書いた通り、今回の2016年9月のニューヨークファッションウィーク(以下 NYFW)は、いろんな意味で大きく盛り上がっていたので、いくつかポイントをまとめて書いてみます。

 

 

業界から一般消費者イベントへ

アメリカファッション協議会(CFDA)は、これまで業界主体だったファッションウィークを消費者主体に変えることに決定しました。

プレスやバイヤー向けにショーが行われ、発表されたプロダクトが手に入るのは半年後というスタイルは、常に新しい情報でタイムラインが埋まる現代の消費者に合わない。ファッションもオンデマンドに対応していくべきという考えからだと思います。

 

消費者をショーに招待するブランドも増え、Tommy Hilfigerは、Gigi Hadidとのカプセルコレクションの発表のためだけに2日限定の移動式遊園地を水辺のPier 16にOPENさせ、ショーの翌日は一般に解放されました。Tommy's Pierと名付けられたこの遊園地には、Wiliumsburgのフードマーケットで有名なスモーガスバーグが全面協力した他、ネイルやレコードなどを扱うローカルショップが数多く参加し、おしゃれなカーニバルとして大きく盛り上がっていました。この情報後で知ったのが悔やまれます。すごく楽しそうでした…。

また、J.Crewのショーでは、よりリアルなプレゼンテーションを行うため、モデルに一般消費者が起用されたそうです。ちなみに、従来型の方法で参加するブランドの一部は、あえてアポイント制のクローズド形式を取って、逆に情報を出さないようにするなど違う方向にも変化が見られました。

www.instagram.com

 

See Now, Buy Now

ニューヨークでは、タッチパネル方式のフィッティングルームを店舗に導入するなど、先端テクノロジーを取り込むなど先進的なブランドとして知られるレベッカミンコフが先行してショーの直後に商品をなんらかの形で即購入できる"See now, Buy now"方式を取り入れていましたが、今回のNYFWから数多くのブランドがこの方式に切り替え、一般向けに広く売ることにより重きが置かれるようになりました。これは今までになかった非常に大きな変化だそうです。

上述したTommy とGigiのコラボでも、その場で発表された商品が買えるようになっていました。また、2月に発表されたリアーナのブランドFENTYとPUMAのコラボ商品は、Bergdorf Goodmanのウィンドウを飾り、POP UPショップをオープンさせて、即購入できるリアルな場を活用してローンチをより強く印象付けていました。

また、MADEというファッションウィーク中に発表された商品が購入できるサイトなども立ち上がっています。

ma.de

人種差別・文化盗用問題

今回の場合は、カニエ・ウエストがモデルをtwitterで一般公募した時にMULTIRACIAL WOMEN ONLYという表現を使ったことや、Marc Jacobsのショーでドレッドヘアを使ったことなどが物議を醸しました。こういう形で問題になると、時には不買活動が起きるなどしてブランドに大きな損失を与えることも少なくありません。日本に住んでいるとあまり実感ありませんが、アメリカでここ数年アパレルブランド周辺でみられる重要な問題なので少しだけ書きました。

 

Cooper Hewittは、5ドルで入場できるこじんまりとしたいい美術館です

 

さて、私はというと、前編で書いた2つのブランド以外には、Cooper Hewittで開催されていたトムブラウンセレクトの靴の展示を見に行ったり、プレゼンテーション形式のブランドのショーをいくつか見に行きました。会場はホテルやギャラリーが多く、ほとんどがチェルシー近郊でした。Milk Studiosで開催されたショーは、同時に小物系5ブランドが見れるもので、それぞれメインの小物の特性に合わせた独自のプレゼンテーションで非常に興味深かったです。

Chloe Gosselinのショーでは、ずらっと並んだ生足のショーが見れました

 


最後に棚ぼたで見に行くことが出来たのは、ジェレミースコットのショー!さすが、Moschinoのクリエイティブディレクターとしても活躍する時の人ジェレミーのショーとあって、熱気がすごかったです。フロントローには、セレブもいろいろ来ていたようで、パパラッチが外にたくさんいました。大胆なグラフィックやスパンコールのカラフルなドレスが印象的なショーで、マッシュルームヘアのモデル達がかわいかったです。

ミッドタウンのメイン会場はローワーマンハッタンのものより規模が大きく、ウェイティングエリアにはジミーチューのドリンクサロン、ヘアサロン、コーヒースタンド、フォトスポットなどがあってより華やかでした。

 

はじめてのファッションウィークでしたが、想定より多くのショーを見に行くことができて本当に有意義な滞在になりました。NYFWに参加している著名なブランドには、トムフォード、トムブラウン、マークジェイコブス、フィリップリム、DKNY、カニエウエスト(Yeezy)、レベッカミンコフ、トミーヒルフィガーケイトスペードアレキサンダーワン、THE ROW、Opening Ceremonyなどがありますが、オンラインに強い新興ブランドであるTELFAR、Vfiles、Kithなどの動向に注目しています。

NYFWが一般に対象を広げられつつあるので、今後より楽しいイベントになっていきそうでとても楽しみです。次回は、思ってたより早く歩くモデルに対応できるカメラ持参でリベンジしたいです(いい写真が全然撮れなかった…!)

 

前編は以下

ehara.blog.houyhnhnm.jp

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ニューヨークファッションウィーク2016 - NYFW前編

f:id:hynm_rie_ehara:20160930020526j:plainTELFAR 17SS

 

今年の夏、気鋭のブランドTELFARのクリエイティブディレクターに初めて会った際、ショーに招待してもらうことになり、初めて9月7日から開催されたニューヨークファッションウィーク(以下NYFW)に行ってきました。


今回からメイン会場がミッドタウンとローワーマンハッタンの2箇所になり、厳選された151(昨年同月は394が参加)のブランドが参加。今年2月から試験的にはじまったショーの直後にアイテムを販売する"See now, Buy now"形式が、今回から数多くのブランドによって導入され、著名人とブランドがコラボしたアフォーダブルな価格帯のカプセルコレクションが登場したり、モデルやプレゼンテーションの形がより多様になり、街全体で盛り上がりを見せていました。

 

NYFW初日にBergdorf GoodmanにOPENさせた、リアーナのブランドFENTY×PUMAのPOPUP

 

NYFW初日は、”Ready to Buy”形式を取り入れ、久しぶりにニューヨークでショーをしたトム フォードと、ルーズベルトアイランドで開催されたカニエ・ウエストのYeezyのショーで幕開け。カニエのショーは、猛暑の中場所が遠かったこともあり、大幅に遅延した上、倒れてしまうモデルも出たということでも話題になってました…。 

私はこの日は、期間中数多くの参加ブランドのヘアメイクを手がけている、augument 二階堂さんに招待していただいて、Gansevoort Park Avenue NYCホテルのボールルームでVICTOR dE SOUZAのショーへ。

 

今回のコレクション、テーマに合わせてメインに使われていたのはスパンコールなどを多用した華やかなユニコーン!初日から非常にニューヨーク的な貴重なランウェイを体験できました。ドレスはほんとにどれも素敵で、チュール使いが私のつぼでした。

このブランドは、LADY GAGAやリアーナなど、主に雑誌やショー向けの衣装などを手がけていることで知られていて、ドレスは1点150万円など、基本的には一般人には縁がなさそうではありますが、アクセサリーやメイク用品はアフォーダブルな価格で販売しています。日本にもこういうブランドあるんでしょうかね?

ちなみに今回のショーには、歌手でストリッパーのAmanda Lepoleも出ていて、ダイナマイトボディ全開のドレスで、聴衆を魅了していました。

 

 

2日目は、今回の主目的であったTELFARのショーでローワーマンハッタンのメイン会場へ。メイン会場はウェイティングエリアで飲み物がサーブされたり、ポップアップショップがあったりして、ショーの前後も楽しめるようになっていました。

 

 

TELFARは、TELFAR CLEMENSによって2005年に設立された、水着やスポーツウェアを普段着向けにデザインした、先進的なユニセックスブランドです。Dover Street Market NYCやOpening Ceremonyなどでも扱われ、特にここ数年はオンラインでユニークなプレゼンテーションを行うことでも話題になっています。

実際ショーにも、他のショーよりも多様なタイプの人が集まっていて、ショーと合わせてなぜこのブランドが注目されているのか理解できたような気がします。ボーダーの曖昧な服が、カラフルにランウェイを歩く様子は想像以上に刺激的でした。個人的には、前後を入れ替えたり、大胆に背中を空けたデザインのポロシャツなどが好きでした。

ちなみに彼らは、New Museumの運営するインキュベーション施設New Incに入居しています。

 

出発前から見ることが決まっていたこの2つのショーですが、非常に対称的でニューヨークのカルチャーの多様性と奥深さを垣間みることができました。ファッションを切り口にして、一度に様々なコミュニティを知ることができるという意味でも、現地に実際行ってみて本当に良かったです。

 

次回は、ニューヨークのファッションジャーナリストと回ったランウェイ以外のショーや一番大きなメイン会場の様子、総括を書きたいと思います。

 

後編はこちら

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クラウドファンディングでニューヨークへ

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私が初めてニューヨークに行ったのは、約3年前の秋とかなり最近のことです。

 

多感な時代に映画や音楽などの影響を受けまくったアメリカ。初めてホームステイしたテキサスがあまりにも楽しくて、どうしてもアメリカの高校に通いたくなった私は、ウィスコンシン州の高校に留学しました。

アメリカは様々な都市を訪れましたが、最大の都市にして、あらゆる職業の頂点の人が集まり、流行の先端を行く、この素晴らしい街に足を踏み入れることがなかったのは、どこかこの街に気後れがあったからだと思います。

 

そんなニューヨークが一気に自分にとって身近な存在になったのは、いくつかのインターネットサービスとの出会いがきっかけです。

アメリカの様々なテックメディアの記事を読むのが日課の私は、新しいインターネットサービスを使ったり、気になったスタートアップを調べるのが大好き。そんな中、個人的に気になったサービスが皆ニューヨークに本社を置いていることに気がつきました。

インターネット業界の頂点といえば、シリコンバレー。大型調達のニュースや大胆な技術など世を賑わせるのもほとんどこのエリアですが、気になったサービスを追って行くうちに、ニューヨークにも急速に大きなテックコミュニティが成長しつつあることを知ったのです。

調べて行くうちにどんどん興味が増し、自分の元に増えてきた興味深い情報が日本でほとんど報じられていないことから、実際自分で行ってみたいと強く思うようになりました。

 

そして、自分が面白いと思ったこの情報を、スライドにまとめてみたところ、大きな反響があり、一人で行ってくるだけではなく、この情報を日本で興味を持ってくれそうな人達に広く知ってもらいたいと思いました。

www.slideshare.ne

 

クリエイティブ系のプロジェクトだけを集めたキャンペーンのためのプラットフォームKickstarterも、ニューヨークスタートアップの一つ。自分もクラウドファンディングというものを使ってニューヨークに行ってはどうかと考えました。

 

そこからはあっという間でした。CAMPFIREでプロジェクトを作り、3週間ほどのキャンペーンで、目標金額の10倍以上、237人もの方が支援してくださり、私は初めてのニューヨークに旅立ったのです。

camp-fire.jp

 

 

(つづきは以下)

ehara.blog.houyhnhnm.jp