アメリカの大都市特化型 新しいライドシェアサービス Via(ヴィア)

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今年の6月にニューヨークを訪問した時、アメリカの友人が、Via(ヴィア)という名前のライドシェアサービスを呼ぶと言い出した。

やってきたのは、8人乗りの黒いバン。目的地へ向かう道中、どんどん乗客が乗り込んでくる。なるほど大型車を使った乗り合いサービスか、と思っていたら、目的地周辺で降ろされてしまった。どうやら、他の乗り合いサービスとは少し違うようだ。

 

大都市に特化した新しい格安ライドシェアサービス

Via(ヴィア)は、ニューヨークのマンハッタン内であれば、朝6時〜夜8時まで一律5ドルで利用できる格安ライドシェアサービスだ。

格安の秘訣は二つ。大型車を使ってより多くの人を運ぶことができることと、最寄りの交差点でピックアップとドロップオフを行うことによって無駄な走行を削減していることだ。この経路の最適化によって、大人数の乗り合いにも関わらず、格安でタクシーに限りなく近い体験を実現をしている。

最近では時間や場所などによっては、UberLyftといったライドシェアサービスの利用では割増料金が発生することも少なくないため、固定5ドルという価格設定には圧倒的な魅力がある。また、ニューヨークでは、固定の時間やエリア外であっても他社より安い料金を提示しており、ブルックリンやニューヨーク近郊の3空港からも利用が可能になっている。

 

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イスラエル人起業家によるニューヨーク発のスタートアップ

Via(ヴィア)は、イスラエル人起業家 Daniel Ramot と Oren Shoval によって2012年に設立されたニューヨーク発のスタートアップだ。

彼らが育ったイスラエルで、一般的だったSherut taxiと呼ばれる、バンを使ったシェアタクシーをニューヨークに持ち込こもうと考えたのが、このサービスが生まれたきっかけだそうだ。

最初はニューヨークのアッパーイーストサイドに限定してテスト運行を行い、やがてエリアをマンハッタンに拡大。現在は、さらにニューヨークのエリアも拡大し、シカゴとワシントンDCでもサービスを展開している。

これまで、137.06Mドルを調達している。

 

変化するライドシェアマーケット

初めてニューヨークに行った2013年。当時はまだライドシェアと言えばUber一択で、いわゆるタクシーの代替として大きな話題を呼んでおり、イエローキャブを利用する人の方がまだ多かった。

その後、Lyft の大規模な広告のキャンペーンにより、地下鉄や街角のあちこちで広告が展開され、若者を中心に一気に普及が進んだ。また、元々ハイヤーサービスを行なっていた Gett がマンハッタン内を10ドルで利用できるサービスをリリースし競争が激化。

続いてUberLyftでの乗り合いサービスが始まり、価格的なメリットの高いこのサービスはあっという間に浸透。そんな中で、特に価格面で強みを持つViaが急成長したようだ。3〜4年の間に起きた変化である。

他にも通勤に特化したバスのライドシェア Chariot などがニューヨークにはあり、自転車からバスまで多様なライドシェアが存在する。

 

Uberが登場してから、ライドシェア市場は急速に拡大した。今後は、移動する乗り物そのものを変えていく業界と結びついて、新しい移動手段が生まれることが期待される。例えば、Uberの自動運転版はピッツバーグで数年に渡って既に運用されている。

今後もこのマーケットの変化に注目していきたい。

 

 

ridewithvia.com

*1:Viaのトップページ

*2:Viaのサービス展開エリア

アッパーウエストでMeetupとBranchへの取材 - クラウドファンディングでニューヨークへ

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アッパーウエストスタートアップ朝食会の常連メンバー 中央が運営ホスト

 

 

紹介ベース以外でも取材の機会を増やすため、ニューヨークで共通の関心者が集まるコミュニティサービス Meetup(ミートアップ)を使って、オープンな集まりやイベントに参加してみることにした。

Meetupは、まだニューヨークにスタートアップコミュニティができ上がる前、2002年に創業した第一世代のニューヨークを代表するスタートアップの一つで、その名の通り同じ興味関心事を持つ人同士がミートアップできる(出会える)コミュニティサービスだ。サイト上にいくつものグループが存在し、好きなコミュニティを探して参加でき、イベントなどがある場合そこから参加申込してリアルに出会うことができる。

創業者がインターネットコミュニティとも深いつながりがあったため、多くのテックコミュニティが作られ、そのままニューヨークにスタートアップコミュニティが形成されるのに大きく貢献したそうだ。ニューヨークでローカルな人と出会いたい場合、このサービスを使えば私のような外国人でもオープンに受入れてくれる。

 

 

ミートアップを使ってアッパーウエストのコミュニティへ

 

 

毎日スタートアップ関係だけでも10はイベントが開かれているというMeetup。火曜日の午前中に誰でも参加できそうな「アッパーウエストでスタートアップを招いた朝食会」というのを発見した。早速申し込むと、快く参加を受け付けてくれた。会場はその名の通り、セントラルパークの中央西側あたりのアッパーウエストと呼ばれるエリアにあるAroma Espressoというコーヒーショップだった。

この日のゲストはHiLineCoffee(ハイラインコーヒー)という、ニューヨークで自家焙煎しているコーヒーの通販スタートアップの創業者だった。KeurigとNespressoで使える、コーヒーポッドという形で届くので、マシンがあれば手軽に鮮度の高いコーヒーが楽しめるのが特徴だ。

創業者のGeneの話を軽く聞いた後は、各自軽く自己紹介をしてから交流タイム。夜オフィスで開催されるような大人数のMeetupに比べると、いろんな人と話しやすく、ホストがあふれている人を見つけては「この人と話した?」という感じで助け舟を出してくれるので、全く知り合いのいないアウェイ感のある場所でも心細くなかった。また、参加者は全員スタートアップに関心があるので、どこで働いているのかといった質問からの派生で十分会話が成り立つところもよかった。

運営しているホスト自身も起業家で、いろんな人と広く知り合うために自分の住むエリアでライフワーク的にこの会を定期開催しているのだと教えてくれた。日本でも最近ミートアップは増加しているが、こうやってホストが全体に気を配って快適なコミュニティを作ろうとしているところはまだ少ないと思うので、見習うべき素晴らしいやり方だと思った。

 

 

Branch(ブランチ)の創業者 Josh Miller

 

 

午後は、最初に取材で訪れたインターネットコラージュの to.be 創業者 Nickからの紹介で、日本にいる時からサービスを愛用し、なんとか会ってみたいと思っていたスタートアップの一つ、ディスカッションプラットフォーム Branch(ブランチ)の創業者Josh Millerとの約束でグラマシーパーク方面へ。

グラマシーパークは、かわいらしいお店が集まる閑静な住宅街である。グラマシーホテルの滞在者を除けば、鍵を持っている近隣住人しか入れない私設公園、グラマシーパークの近くにあることがこのエリアの名前の由来だ。

 

Branchは、twitter創業者の一人でMidiumの創業者でもあるEvan WilliamsとBiz Stoneの創設したインキュベーター Obvious Corp(現在はObvious Ventures)をはじめとし、ニューヨークを代表するインキュベーター Betaworks、シードファンド Lerer Venturesからも出資を受ける最強のメディアマフィア軍からのバックアップを受けている。

 

創業者のJosh Millerは、プリンストン大学ドロップアウトし、22歳で仲間と共にBranchを創業した。自分の意見を書いたり、コメントに返答することができるブログやtwitterなどの発信型のメディアがあるのに対し、何かについて議論できる場がインターネット上にないことがBranchを作ったきっかけだという。

Joshは、母親が自宅にゲストを招いて食事の席で様々な議論をしていた経験から、物事には様々な見方があり、それについて議論したりすることで、見識が広がって行く重要性を学んだそうだ。

情報には主観があったり、欠けている情報があって、インターネットが貴重な情報源となっている現代で、読んでいるだけでは正しい物の見方ができないというのは、その通りだと思った。

 

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私が写真を撮っている間も自席に戻って、開発に集中するBranchのチーム

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Mediumなどと共有のオフィスのミーティングスペース。ハロウィンバージョン

 

f:id:hynm_rie_ehara:20161221154317j:plain共有キッチン。オフィスマネージャーが買い出しなどをして開発に集中できるようサポートする

 

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Branchの創業者は全員エンジニア。中央がJosh Miller

 

Branchは、この取材の約半年後にFacebookに約15億円($15M)で買収された。

 

ちょうど買収発表のタイミングに休暇で日本を訪れていたJoshと会って食事をした時、「Facebookのオフィスもすごくいいから、行ってみるといいよ」と話していた彼。その後、シリコンバレーFacebookオフィスにも私を招待してくれたのだが、Joshの働く建物内には、ちょうどマーク・ザッカーバーグがいて、私の興味からスタートした小さな小さな旅の一つのルートがこんな場所に導いてくれたことになんとも不思議な感覚を覚えた。

 

さらに、2015年に、Joshはホワイトハウスに転職し、オバマ氏の元でプロダクトディレクターとして勤務。オバマ氏の退任と共に彼もまたホワイトハウスを去った。

 

まだ、20代の彼がこれからどこに向かうのかこれからも注目したい。

 

(つづく)

ヘルスケアスタートアップ Noom(ヌーム)との出会い - クラウドファンディングでニューヨークへ

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チェルシーのギャラリー街は、制作環境にも適した落ち着いた雰囲気がある


 

ローワーイーストサイドのairbnbに引っ越してからはじめての月曜日は、チェルシーにあるNoom(ヌーム)というスタートアップに取材に行くことになっていた。

 

ヘルステック Noomとの出会い

 

クラウドファンディングで取材のための支援を募っていた時、キャンプファイヤーに一通のメッセージが届いた。Noomという、ニューヨークのヘルスケアスタートアップで働く日本人、Yokoさんが「ぜひオフィスに遊びに来てください」と連絡をくれたのだった。私が詳しくリサーチしていたのは、基本的に一般消費者向けのサービスだったため、Noomについては連絡をもらうまで知らなかった。

Noomは、ダイエットを手助けするアプリ「Noomコーチ」をメインに作っていて、これまで健康関連の様々なサービスをリリースし、世界累計で1,800万ダウンロード(2016年現在は4,600万)されているということだった。選択課金型のアプリは、Google play健康カテゴリ内で売上1位を10ヶ月連続で達成し、日本でも知られている名門VCの一つから資金調達も受けていた。こんな会社があったのか!と嬉しいニュースだった。

Yokoさんは、すぐにメールで創業者のSaeju(セジュ)を紹介してくれ、事前に何かできることがないか取材の相談にも乗ってくれた。Saejuは、韓国から9年前に退路を断って単身ニューヨークに渡り、つても何もない状態からスタートして今に至っているのだと話してくれた。だから、私の挑戦を応援したいと言ってくれたのだった。

 

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コーポレートカラーのグリーンがアクセントのNoomのオフィス(現在はブルーにリブランディング

 

ローワーイーストサイドでまだ移動に慣れない月曜日の午前中、大事なアポイントを前になんと電車を逆走してしまった。気づけば橋を渡ってブルックリン。戻る電車も少なく、どうしても遅れてしまいそうな事態に…。ついにやってしまった!すぐにYokoさんに連絡を入れ、なんとか時間を調整してもらうことはできたが、駅から少し距離があるオフィスまで全力疾走するはめになった。余裕を持って到着する予定がとんだ大失態だ。

Noomのオフィスは、チェルシーと呼ばれるヒップなエリアのギャラリー街の中にあるらしい。ハイラインをさらに西へ移動した、マンハッタンの西の端に位置する雰囲気のあるエリアだ。元々工場などが多かった名残もあってか、車の整備工場などもあって、オフィスの手前にはテスラのショールームもあった。Noomのオフィスのビルもまたギャラリー用のビルで、エレベーターはものすごく広く、前後に扉があり動くのもゆっくりだった。


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エンジニアが働くゾーンのNoomオフィス モニターが多い

 

オフィスに到着すると、入ってすぐあるキッチンにいた女性がすぐ気付いてくれて、Yokoさんを呼びに行ってくれた。間もなくして、Yokoさんと一緒に、大きな声で「いらっしゃい!メールでやりとりしてたから友達と会う気分だ!」と創業者のSaejuがニコニコしながらやってきた。

二人に軽くオフィスを案内してもらってから、Yokoさんと一緒に働くインターンのReiさん、VPのKenを交えて、まずは招待してもらっていたオフィスのキッチンで作っているというヘルシーランチをいただくことになった。Saejuの共同創業者は元Googleのエンジニアだったこと、健康サービスを作るには職場も健康を考えた場所にしたいと、5番目の社員にシェフを雇ったのだそうだ。

生春巻きやアボガドのサラダ、スープなどをたくさん取ってミーティングルームでランチをいただく。よく考えてみると、野菜の類を十分外食で取ろうと思うとかなり高額になってしまうニューヨーク。私も到着してから、こんなにヘルシーで充実した食事を取るのは初めてだった。

 

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ランチが終わって、おやつの準備をしている様子。左が5番目の社員のシェフ

 

Saejuは、元々韓国で音楽系のビジネスで成功していた若手起業家だったが、もっと大きな舞台で勝負したいと、9年前に単身渡米しニューヨークにやってきた。ろくにいいアパートも借りられず、ブロードウェイのプロデュースなどの仕事を最初にやっていたという。その後、共同創業者のArtemと出会って、世界中の人の健康をテクノロジーを使って貢献するビジネスをやりたいとNoomの前身の会社を立上げたのだそうだ。

スマートフォンが出始めたタイミングでモバイルアプリにフォーカスすることにして、これまで歩数計など様々なアプリをリリースしているが、健康保険などの制度が充実していないアメリカで、肥満や病気の大きな原因となる食事の部分に特化したNoomコーチをリリースするに至ったそうだ。ユーザーは基本的に食事を記録するだけのシンプルなものだが、これが非常に効果が高いそうだ。同じような属性の仲間と一緒にコミュニケーションしたり、レシピや読み物などの提供もやっているが、これは優良のプランになる。(現在は専任コーチがついてくれるようになっている)アメリカ以外でも、韓国やドイツで多く利用されていて、これから日本にも力を入れたいということだった。

 

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ピンぼけだが 左からSaeju、Yokoさん、私、Reiさん、Ken

 

ランチを終えると、Saejuは今後の私の取材をどう手伝えるかということを話しはじめた。どうやら、起業家や投資家の友達を呼んでディナーパーティーを開いてくれるという話だ。それ以外にも何かあれば随時声をかけてくれるという。これまでも協力してくれる人はたくさんいたが、彼ほど親身になってくれた人はこれまでいなかったので、いたく感激した。

たくさんお土産にNoomグッズをもらって、Noom流のおもてなしに触れて最高の気分でオフィスを後にした。

 

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たくさんもらったお土産

 

 

一旦アパートに帰って、メールや次のアポイント準備をする。これまであまり書いていなかったが、実は英語でメールをやりとりするのはものすごく大変だった。そもそも自分がこれまで接点のなかったカルチャーを持つアメリカの人に仕事でメールをするので、書き方一つ決めるのも一苦労。すぐに返答する必要があるだけでなく、書き方一つで結果が決まるプレッシャーもあって、このメールと準備に膨大な時間が割かれた。

新しい訪問先が決まればリサーチも必要で、オフィスの場所も様々。毎日取材した後にメモを読み直して、書ききれていなかったことを追記する。たいした量のアポがなくても、毎日があっとういう間に終わっていた。

 

夜は、日系メディアのニューヨーク支社にいらっしゃる局長や編集長などの方々とディナーをご一緒させていただくために、Time Life BuildingのCapital Grilleへ。マテリアルワールドのヤノリエも一緒に、皆さんの仕事についていろいろ聞かせてもらいながら、ニューヨーク名物でもあるステーキを堪能しながら楽しい時間を過ごさせていただいた。

ニューヨークには、まだインターネット産業を取材する日系メディはない。(現在はビジネスインサイダーなど一部が日本語化されている)それが、私がニューヨークに自分で来て発信することに決めた大きな理由だった。ある意味我流で資金調達して来た、なんの取材経験もない新米記者な私。にもかかわらず、エスタブリッシュトなメディアでキャリアを積まれている皆さんからも、私の活動を支持してもらえたのはすごく嬉しく、光栄なことだった。

 

 

つづく

ローワーイーストサイドのairbnbにお引っ越し - クラウドファンディングでニューヨークへ

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滞在していたかわいらしいアパート 1階にはブティックが入っている

やっと滞在していたウエストビレッジでの生活に慣れてきたところだったが、次の滞在先へ移動する日がやってきた。

 

ウエストビレッジからローワーイストサイドへ

 

実は、airbnbで1ヶ月もの間滞在できるアパートを探すのは至難の業だった。今回の滞在は、取材に少しでもつなげたい、現地のことをもっと知りたい、なるべく安くいい場所で滞在したいという思惑があったので、アパートをまるまる貸し切るタイプではなく、ホストか現地の同居人がいる場所を探していた。当然ながら、同居タイプは、受け入れるホストの審査も厳しくなる。

そもそもaibnbは、短期滞在者メインのサービスであるため、カレンダー上で空いている部屋もほとんどない。気に入った部屋のホストにコンタクトするものの、日程と条件が合うアパートは全く見つからなかった。

そこで、引っ越しの時間ロスを理由に一箇所に留まるという考えを捨てて、いろんな場所に住んでみることにした。万が一、部屋が良くなかった場合のリスク分散にもなる。

結局、3箇所押さえることができたものの、後半1週間分の滞在先が決まらないままニューヨークに来ることになった。最悪ホテルという選択肢もある。

 

airbnbでいいホストと巡り会うには、自分がいい滞在者であることが重要である。滞在者が部屋のレビューを見て予約を検討するように、ホストは滞在者のレビューを見て受入を判断するからだ。高いレビューが多ければ多い方がいい。

当然のことだが、ルールを守るだけでなく、また帰ってきてほしい、又は、他のホストにもおすすめできると思ってもらえるような態度滞在すれば、今後またサービスを使う時に自分にとってもプラスになる。初めて1人でairbnbを使った私には、このレビューが全くなかったので、予約が難航したのかもしれない。

後日、最初の部屋の使い方を気に入ってくれたホストが私に絶対また帰ってきてほしい、自信を持っておすすめする!ととても嬉しいフィードバックをくれた。私はなんとか初めてのいいレビューを手に入れることができた。

 

これから滞在するローワーイストサイドのアパートは、airbnbのおすすめスーパーホストで、すごい数の高いレビューがついていた。ウエストビレッジのアパートより場所の利便性は下がるが、物件としてはかなり期待が持てそうだった。

 

名残惜しいアパートを出てタクシーを捕まえ 、ローワーイストサイドへと向かった。エントランスには気のいいドアマンがいて、朝早く出かけていたホストの代わりに私を温かく迎え入れてくれた。「話は聞いてるよ!なんでも聞いてくれ!」と、笑顔で握手を求めてきてくれた彼に、心強さを感じた。

アパートは、のんびりできる屋上と小さなジムがついていて、エレベーターもある比較的新しい建物だった。部屋もベッドも前の部屋の2倍あり、大きなクローゼットもあった。共有部のキッチンもリビングも広々としていて清潔で、日本人には嬉しい土足厳禁だった。また、ニューヨークではめずらしい、洗濯機が部屋の中についていて、たっぷりと大きなバスタブのついたバスルームがホストとは別で専用にあった。ホストとちゃんと会って少し様子を見たら、すぐ交渉して滞在を最大まで伸ばしてもらうことに決めた。まさに理想的なアパートだった。

 

軽く荷物をほどいてから、お昼に約束があったので、急いでアパートを出た。SOHOで日本から会社の研修でニューヨークに来ているという、テレビ局のTさんとランチをすることになっていたのだ。同僚の方と3人でメキシカンを食べた後、何かスタートアップ関連のところに行きたいと言っていたTさんと、元々行きたいと思っていたニューヨークのスタートアップのショールームストアを見て回ることにした。

 

D2Cメガネブランド ウォービーパーカー

ニューヨークには、インターネット発のブランドスタートアップがたくさんある。そして、このビジネスモデルを作り出し、最初に大きな成功を収めたのが、ウォービーパーカーというメガネブランドである。(2015年には、fast companyに最も革新的な企業として1位に選ばれている)

ブランドスタートアップは、ダイレクトトゥーコンシューマー(D2C)という、その名の通り自分たちで生産したものを直接消費者に販売するビジネスモデルで、販売はオンラインをベースにしている。直接販売するため、ユーザーのニーズを取り込み、中間マージンを排除したリーズナブルな価格で顧客に訴求できるのが強みだ。インターネットで購入することに特化しデザインされた現代版ブランドとも言える。

ウォービーパーカーの場合、95ドルを基本としたリーズナブルな価格でファッショナブルなフレームを多数展開し人気を得ているが、オンラインで全て完結させることに徹底特化した通販設計がこれまでのブランドや通販と全く違う。例えば、お店に行かなくてもメガネが試着できるよう、自宅に気になったフレームを5つ取り寄せて試せるようなサービスがあることや、ソーシャルメディアを活用したマーケティング、オンラインと同じような考え方で作られたショールームストアなどがある。

 

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ウォービーパーカーのショールームストアのインテリアは図書館のイメージ

 

Tさんと一緒に、新しくできたというハイラインにあるウォービーパーカーのストアを見に行った。図書館をイメージさせる店内の本棚に、メガネがコレクションごとにきれいに展示され、自由に試着ができるようになっていた。棚の下の部分では、何種類かの本が購入できる形で展示されていたので、彼らはメガネを本のように「知」を身につけられるアイテムだと表現したいのだなと感じた。

アメリカでメガネを作るには処方箋的なものが必要である。このストアでも予約するか待てば、専任の人がその場で作成してくれるサービスもあったが、基本的に仕上がるまでに2週間程度かかるということで、私はメガネを作ってみるのを断念した。その代わりサングラスは、在庫があればその場で購入もできるということだったので、試しに一つ購入してみることにした。面白いのは購入時にiPadでアカウント登録し、そこで決済。履歴はアカウントに残り、レシートはメールで来るということだった。

 

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ウォービーパーカーのテーマカラー、ウォービーブルーのディスプレイ自転車が入り口に

 

ウォービーパーカーは、元々実物を見たいという声が多かったため、オフィスの片隅にショールーミングスペースを作ったのが発端で、ブランドの成長と浸透に合わせて、ストアをニューヨークの主要スポットに増やしていった経緯があるが、基本的に在庫は一括管理しそこから発送され、ストアでは試着とショールーミングが主目的になっている。空間を効率的に使うことで、コストを抑える方法もブランドスタートアップの特徴の一つである。

リーズナブルな価格ながら、丁寧な接客とブランドの世界観やサービスの体験を表現するストアは、顧客体験を大きく向上させることにつながっているようだ。

 

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メイカーボットのショールームストア(2016年現在は撤退)プリント用のカラフルな素材が壁に

 

取材するにあたって、ネットで見た情報だけでなく、現地調査が重要だとは思っていたが、この体験でその思いをさらに強くしたので、もう一件行ってみることにした。

家庭用の3Dプリンターと素材を販売する、メイカーボットショールームストアだ。まだまだ3Dプリンターは一般消費者の生活に浸透しているものではなく、家庭用といっても1000〜2500ドルの高額な機械なので、プリントしたもののクオリティやプリンターそのものを実際に見てもらえる場が必要と、オープンに至ったそうだ。

500円程度で買える小さなおもちゃが入ったガチャガチャがあったり、3Dプリンターで作った腕時計などの購入可能な小物の他に、科学やニューヨークをテーマにした様々なものがたくさん展示されていて、見ているだけでとても楽しかった。実際プリント中の機械を見られるのもこの場所ならではである。

 

ウォービーパーカーにしろ、メイカーボットにしろ、こんな場所はまだ日本にない。新しいものが生まれてから、実際にビジネスとして成立するまでの時間もチャレンジも、圧倒的にアメリカの方が早いのだろう。アメリカは数年先を行っている、というのは本当だなと思った。

 

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3Dプリントされたマネキンと服


MADと3Dプリンター

 

メイカーボットで未来を感じて気分を良くした私は、ジャーナリストのnobiさんおすすめの美術館 Museum of Arts and Design(MAD)にそのまま行ってみることにした。

中身が定期的に入れ替わる、美術館の展示は巡り会わせ。何をやっているかと思ったら、なんとタイムリーにも3Dプリンターを使った作品のエキシビション「Out of Hands」を開催していたのだった。

プラスチック、陶器、メタルなどの素材別のオブジェにはじまり、椅子や食器、壁を飾るインテリア用品、洋服や靴、ジュエリーなど実用的なものから実験的なものまでかなり幅広く展示されていた。

 

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3Dプリントされた美しいパンプス

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幾何学的なデザインの照明器具的なもの

 

メイカーボットに行った時は、3Dプリンターでオブジェ以外に何を作るのだろうとあまりピンと来てない部分があったが、既に着実に実用に向かって様々なものが作られていることを知ってちょっと衝撃を受けた。実用面でもデザインの面でも、これまでのものづくりの常識が変わり、全く新しいものが出てくることになるかもしれない。ワクワクする展示だった。

 

 

(つづきは以下)

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ブランチ、そしてブルームバーグ - クラウドファンディングでニューヨークへ

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カントリースタイルのメニューが食べられる人気のレストラン Friend of a Farmar

 

アメリカの家庭料理とビーコンの話

 

到着して5日目、初めての土曜日の朝は、数日前に挨拶程度しかできなかったTokyo New Cinemaの木ノ内さんの友人で、Sonic Notify(現在はSignal360)でビジネスディベロップメントとして働くLevが改めて会ってくれることになった。

ブランチでもどうかと、グラマシーパークのFriend of a Farmerに誘ってくれた。このレストランは、ニューヨークの農業地帯にある家のような居心地のいい空間で、田舎料理を出すニューヨークでは珍しいタイプのレストランらしい。アメリカの伝統的な家庭料理の一つ、コーンブレッドも食べられるそうだ。

 

Sonic Notifyは、ビーコンと呼ばれる人間が聞こえない音を出す機械を使って、広い場所にいる大勢の人に情報を送ることができるサービスを作っているという。例えば、通信環境の良くない野外フェスやスポーツイベントのような場所で有効なのだそうだ。自分たちでビーコンそのものも開発する、ニューヨークでは少し珍しいハードウェアスタートアップである。

 

Levは、私の取材活動のことを聞いて友達を連れてきてくれていた。彼は、ニューヨークの情報先端企業ブルームバーグで働いているという。そして、なんとこの後ブルームバーグのオフィス見学に連れて行ってくれることになった。

 

ニューヨークの情報リーディングカンパニー ブルームバーグを見学

 

まだ高校生だと言うLevの妹も合流して、一緒にブルームバーグ本社に向かうことになった。まさか、あのブルームバーグに行けるとは思ってもみなかったので、嬉しいサプライズだった。

ブルームバーグもグーグル同様セキュリティが厳しく、撮影は不可ということだった。しかし、土曜日も家族や友達にオフィスを解放して見学できるようにしているとは、驚きである。

中の様子が気になる人は、ニューヨークのメディアビジネスインサイダーの記事で少し見ることができる。

www.businessinsider.com

さすがリーディングカンパニーであるだけあって、オフィスはハイクラスな雰囲気と最先端を感じさせる少し未来的な雰囲気のあるものだった。光沢感のある白を基調としたシンプルな内装に、アーティスティックな家具が合わせてあり、ものがほとんどなくて掃除が行き届いている。

ところどころに大胆なデジタルアートや、モダンでハイセンスな花などが絶妙に配置されいて、デザインだけでなくお金のかけ方のセンスも最高にかっこいいと思った。また、あちこちに株価などのブルームバーグの情報端末が設置してあり、どこでもすぐ商談したり、マーケットについて話せるような雰囲気になっていた。

 

ブルームバーグの創業者であるブルームバーグは、ニューヨーク市長となってニューヨークのスタートアップシーンを大きくバックアップした業界の立役者である。彼がリーマンショックで傾いたニューヨークに、インターネット産業の成長をサポートしたことで短期間に全米第二位の規模のスタートアップの集積地ができあがったのだ。

 

www.instagram.com
ブルームバーグでもらったドリンクカップにはいろんな言語でメッセージが

 

全て無料だというスナックや飲み物はゲストにもそうらしく、私達はまったりお茶を楽しみながら午後めいっぱいオフィス見学を楽しませてもらった。

 

初めてのセントラルパーク

 

夕方からは、日本の大手商社でニューヨーク駐在しているというIさんに会いに出かけた。ニューヨークを知るため、いろんな場所をまわりたいと考えていた私は、冬目前のセントラルパークで会わせてもらうことにした。

 

商社での駐在は基本的に最大で3年、昔と違って今は駐在員の数がかなり絞られているので、一人でいろんなことをやっていかなければならないらしい。また、大手商社では投資先や既存事業に関連する事業も幅広いため、業務も多岐に渡るようだった。

 

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セントラルパーク内、最も南にある広場

 

Iさんの働く大手商社の投資先の一つが、ニューヨークで大きく話題になっていたスタートアップの一つであったため、私の活動をネットで見て連絡をくれたということだった。ニューヨークはつながりがあれば、参加可能なスタートアップイベントが多いということで、何かあれば誘ってくれるということになった。

 

セントラルパークを軽く見て満足した私は、そのままIさんのおすすめで、ついに携帯を購入しにAT&Tへ向かった。日本でSIMフリースマートフォンがまだなかったため、いろんな人のアドバイスを受けて、アメリカで安い端末を買ってプリペイドで使ってみることにしたのだ。

 

アメリカの生活で、いわゆるテキストメッセージと電話でコミュニケーションを取るのが一般的なのは、データプランが高額であることが理由の一つだと思う。通話とテキストだけは定額内で使い放題と割安だが、データ通信はちょっと動画を見るとすぐに通信制限がかかってしまうという感じでコストパフォーマンスが悪い。そもそもデータ通信を携帯に入れていない人も少なくないようだった。

ちなみに、地下鉄は電波が入らないため、SNSを見たり、オンラインでゲームをしたりといったこともできないので、日本の電車内の環境とはかなり違う。

 

変わったものを試してみたい、電話とテキストメッセージができればいいという判断で、ちょうどこの時安くなっていたウィンドウズフォンを選択してみた。(結局安いだけあってか、あまり使えなかったのだが…苦笑)

 

明日はいよいよ、次のairbnbのステイ先に移動する。

 

 

(つづきは以下)

ehara.blog.houyhnhnm.jp

グーグルニューヨークに潜入! - クラウドファンディングでニューヨークへ

f:id:hynm_rie_ehara:20161209145907j:plainグーグルニューヨークの真向かいにある人気の商業施設、チェルシーマーケット

 

ニューヨークに到着して初めての金曜日、ウェストビレッジを拠点に取材活動するのは今週が最後になる。そんな今週最後のアポイントは、あのグーグルだ。ニューヨークのスタートアップシーンの全体像を知るには、こういう大企業の取材も欠かせない。とはいえ、規模が大きくなるとセキュリティや広報ルールなどが厳しくなるため、取材やアポを取るのも一苦労である。

今回は、幸運にもグーグル本社で働く川島さん(現在はポケモンGoを作るNiantic所属)からの紹介で、ニューヨークに勤務する同僚Tobsの案内で中を見せてもらえることになったのだ。

 

巨大IT企業のニューヨーク拠点を見学

 

滞在先から歩いて10分程度、複数路線が乗り入れる便利な14st駅のすぐ近く、チェルシーと呼ばれるおしゃれなエリアにグーグルニューヨークはある。

フラットなコミュニケーションを好むIT企業は、できるだけ階を分けずに広い場所をオフィスにすることを好む。そこで、グーグルはニューヨークで最も広いビルの一つを所有することにしたそうだ。その広さはなんと27万平米!地図を見てもらうと分かりやすいが、8番街から9番街、15丁目から16丁目まるまる1区画を使った貴重なビルである。

 


1区画まるまる使っている様子がよく分かる

 

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建物に合わせたシックなロゴを掲げるビルの外観 1階は商業施設になっている

 

f:id:hynm_rie_ehara:20161209031841j:plainGoogle NYCの1階受付 ネオン管のサインがかっこいい

 

1階の受付で身分証を提示し、アポイントの予約を確認する。顔写真のプリントされた入館証をもらってオフィスのある階へ向かい、約束していたTobsと落ち合ってオフィスで、チェックインを行った。

残念ながらオフィス内の撮影は禁止だったので、中の様子に興味がある人はオフィシャルページのリンクから見てみてほしい。

 

ロケーションごとに、地域に合わせたオフィスデザインをしているというグーグル。このオフィスでは、そのままニューヨークの街をコンセプトにしているそうで、私が見せてもらった階では地下鉄っぽいインテリアで統一され、雰囲気の違うミーティングスペースがいくつもあった。本社と同じようにゲームルームやカフェテリアもあって、全て無料で利用できる。

印象に残ったのは、様々なコンピューターの歴史を展示したスペースである。例えば初代のアップルコンピューターなんかも展示してあり、コンピューター業界へのリスペクトと愛が感じられる素晴らしい場所だった。

 

グーグルニューヨークには、2000人ぐらいが働いていて、そのほとんどが営業だということだった。世界最大級の都市ニューヨークは、営業拠点として非常に重要である。ちなみに、同じような理由で東京オフィスも規模が大きく、多くの営業が働いているそうだ。

 

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カフェテリアのテラス席からの眺め エンパイアステイトメントビルが真ん中に

 

その後、おいしいと評判のグーグルのランチをごちそうになりながら、案内してくれたTobsにいろいろ話を聞いた。彼は、営業ではなくインフォメーションアーキテクトという情報設計をする職種で、元々イギリスでこの分野について学び、ヨーロッパでキャリアを積んでからアメリカに来たということだった。

彼は唯一撮影可であるテラスに案内してくれて、素晴らしい眺めを見せてくれた。

 

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植木で作られたGoogle文字前にて

 

忙しい中案内をしてくれたTobsにお礼を伝えてから、アップタウンの方へ向かった。到着翌日に会ったさとこちゃんが、取材に協力してくれそうな友人を紹介してくれるという。

 

金曜の夜のサプライズディナー

 

待ち合わせのPerk Kafeは、こじんまりとしたかわいらしいカフェだった。おいしいコーヒーショップが多いニューヨーク。オフィスに行くのも楽しいが、いろんなカフェを巡れるのもこの旅の楽しみの一つになった。

ここで紹介してもらったのは、日本の広告代理店の関連IT会社でニューヨークで働いているゆうさん。個人的にいろんなイベントに行ったりなど、スタートアップ関係にも詳しいという。ところで、ほんとにニューヨークで会う日本人女性は皆、笑顔がとても素敵だ。元々かもしれないが、環境の影響だったらすごいいいことだなと思った。

実は私がアメリカを訪れるのは、10年以上ぶり。英語にも少し不安があったので、さとこちゃんの提案でタイミングが会えば通訳などを手伝ってもらうことを出発前に相談していた。結局、取材が平日の昼間だったりの調整も難しそうだというのと、いくつか取材してみてなんとかなりそうだったので、何かイベントがあったら案内してくれるなどの形で協力してくれることになった。

 

この日の夜は、さとこちゃんがニューヨークにいる、彼女の知っている日本人IT関係者を集めた夕食会を開いてくれるという。カフェを出た後、一緒に会場であるインド料理屋Spice Symphonyに向かった。

この日集まってくれたのは、エンジニアの山崎さん、小山さん、西嶋さん、それからこの日たまたまニューヨークを訪れていた日本IT企業で働いているまいちゃん4人。ニューヨークでまだ新しいインターネット関係の仕事に就いている日本人はほとんどいないということで、たまにこういうメンバーで集まっているという。

確かに日本育ちの日本人同士でしか分からないようなこともあるだろうし、アメリカに移って普段ローカルな環境で暮らしていても、こういう仲間は大事なんだろうなと思った。

 

結局それぞれ何をやっているかなどを話しているうちにあっという間に時間は過ぎてしまい、1週間をなんとか終えた安堵感もメンバーからの温かい歓迎ムードもあって、あっという間に酔っぱらってしまった私なのであった。

 

 

(つづきは以下)

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ニューヨークの日本人起業家と出会う - クラウドファンディングでニューヨークへ

f:id:hynm_rie_ehara:20161013010649j:plain気持ちのいい朝、ニューヨークにはイエローキャブがほんとによく似合う

 

ランドセントラルでハードウェア系スタートアップと出会う

 

前日、Tokyo New Cinemaの木ノ内さんにいろいろお世話になった私。この日の朝も、スタートアップで働く友達と朝食することになったので一緒にどうかと誘ってもらった。

指定された場所は、ニューヨークから地方や他州への長距離路線が乗り入れるグランドセントラルの駅にあるPershing Square。クラッシックな雰囲気のダイナーは、駅の高架下にあるため、忙しいニューヨーカーと観光客でにぎわっていた。

やりとりがうまく行かず到着が遅れてしまった私は、残念ながらSonic Notify(現在はSignal360に改名)でビジネスディベロップメントとして働くLevとは挨拶くらいしかできる時間がなかったが、嬉しいことに木ノ内さんが私の滞在中どこかで話ができるよう繋ぎ直してくれることになった。

 

映画業界で働く人の友達がことごとくスタートアップで働いているだなんて、出発前に想像できたであろうか…。どこでどんな縁に繋がるのか分からないものだ。

しかし、後に気付くことになるのだが、それくらいニューヨークでスタートアップシーンが急成長し地位を確立しつつあるということだろう。東海岸のハイレベルな大学を出た多くの理系やビジネス系の学生は、狭き門である第一希望の大企業への内定が得られなかった場合、どんどんスタートアップを志向するようになってきている。若いチーム、自由なワークスタイル、多様で楽しさのあるカルチャーを持つスタートアップは、ニューヨークで働きたい若者にとって理想的な職場とも言える。

 

アート業界で挑戦する日本人起業家 藤高さん

この日帰国するというTokyo New Cinemaの木ノ内さんと映画監督の中川さんと別れ、ランチの約束のためダウンタウンに向かった。ニューヨークで上位に入るハイセンスなホテルで、その名の通りBowery通りに面したバワリーホテルの1階にあるレストランGEMMAが待ち合わせの場所だった。

ちなみにニューヨークのホテルのレストランやカフェ、バーは、ホテル滞在者でなくても利用できるオープンなものがほとんどで、どこも割と価格はリーズナブルでハイセンスなのでおすすめである。

 

ニューヨークアートビートというアート情報メディアを運営する藤高さん(現在藤高さんはスマートニュースにジョインし、奥さんがメディアを運営)は、東京のアート情報メディアである東京アートビートの創業者の一人で、結婚を機にニューヨークに移住し、同じようなメディアのニューヨーク版を立上げたそうだ。

アートの本場ニューヨークで、アウトサイダーである日本人がメディアを立上げるというのは、非常に野心的な挑戦だ。実際、なかなか中に入れず苦労することも多かったそうだ。彼もニューヨークに来たばかりのころは、スタートアップ系の人ともっと交流があり、いろいろ一緒にやろうとしたりしたそうだが、結局アート業界の日本人からの需要が大きくなり、コーディネートや企画などリアルな仕事の割合が大きくなっていったそうだ。

 

f:id:hynm_rie_ehara:20161207155054j:plainアート関係者が運営しているハイセンスなシェアオフィス

 

ランチの後は、すぐ近くにあるという藤高さんが入居するシェアオフィスを案内してくれた。アート関係者が運営しているというオフィスには、ビンテージな家具や置物がセンス良く配置されていて、とても素敵な空間だった。一つ一つの本や小物にもこだわりがかなりあるらしく、貴重なホールアースカタログなんかも置いてあった。前日訪問したto.beのオフィスもそうだったが、こういう空間に刺激を受けて働ける環境は日本にももっと増えるといいと思った。

久しぶりにスタートアップの話題をしたという藤高さん、誰か紹介できるかもしれないということで、久しぶりに昔付き合いのあった知り合いに連絡を取ってみてくれることになった。少しでも多く取材できないと帰れません!助けてください!という私の必死さもあったかとは思うが、ここでも「自分ができることは応援しますよ」というペイフォワード的な態度に触れてとても感激した。

 

f:id:hynm_rie_ehara:20161207144728j:plainグラフィティだらけのオフィスの入り口に立つ藤高さん

 

すっかり話し込んでしまった藤高さんと別れて、次の予定までは一旦滞在しているウエストビレッジに向かって歩きながら街を散策することにした。ニューヨークはどこへ行っても共通の雰囲気があるが、同時にエリアによって雰囲気が全然違うのも面白いところである。

うっすらハロウィン色に染まった街を歩くのはとても楽しい。ニューヨーク大学の近くやハロウィン限定の仮装グッツ屋さんなどを覗いて次の目的地を目指した。

 

ファッション業界で挑戦する日本人起業家 矢野莉恵さん

ニューヨークのスタートアップシーンを取材するプロジェクトを立上げてから、絶対に会った方がいいと何人もから紹介をもらった人がいる。ハーバードビジネススクール時代の友人とファッションスタートアップMaterial Wrld(マテリアルワールド)を立上げた矢野莉恵さんである。

三菱商事就職後、MBA取得のため渡米し、そのまま米国のCoachでデジタルマーケティング局でキャリアを積んでファッションビジネスで起業したという女性起業家だ。拠点もターゲットもニューヨークの競合スタートアップと全く同じ、チャレンジングな分野で挑戦する数少ない日本人でもある。

 

f:id:hynm_rie_ehara:20161207144733j:plainMaterial Wrldのオフィスの一角(現在ロゴ等、ブランディングは一新されている)

 

Material Wrldは、C2Cで共有したクローゼットの中身を購入できるというサービスでスタートしたが、思った通りに成長させることができず、その後試行錯誤をした上で、古いブランドアイテムを引き取って新しいものを購入できるクーポンに変えるという方法に手応えを感じ、それを伸ばす方向で動いているということだった。やっと少しづつ在庫を持つということをはじめ、初めて単独オフィスを構えることができるくらいになったそうだ。(2016年現在、このピボットした戦略で見事に成長している)

 

Material Wrldについて話を聞いた後、彼女にニューヨークのスタートアップのトレンドについても聞いてみた。自分も相当いろんなことを調べて現地に向かってはいたが、やはり現地現役の情報の鮮度や質は違う。狭い住宅環境を快適にするための出し入れが容易なリアル版ストレージサービスMake Spaceや、1回分の食事用だけの材料を特殊な調味料を含めて送ってくれるレシピ付きのBlue ApronPlatedなどのデリバリーサービスなど、ニューヨークのライフスタイルに合わせて多様化したオンデマンドビジネスが一つのトレンドになっているようだった。ハイタッチでフレキシブルなサービスが、忙しい都市生活者に受入れられているのだそうだ。

そして、この後なんとそのスタートアップの一つPlatedの1周年記念パーティーに連れて行ってくれるという。

 

f:id:hynm_rie_ehara:20161208161730j:plainPlated の入居する素敵すぎるシェアオフィス

 

矢野莉恵さん、Material Wrld 共同創業者のJieと一緒に、昔同じオフィスだったというPlatedが入居する新しいオフィスへと向かった。

さて、実は日本でもパーティーと異業種交流が苦手な私…。スタートアップ関係者で溢れかえり、早口の英語で盛り上がる会場に圧倒される一方で、彼女達は次から次へといろんな人と楽しそうに談笑しており、アメリカでやっていくにはこういうコミュニケーションが最低でも取れないとダメだなと、一気に重たい気持ちになった。

それでも、何人かと話をすることができ、そのうちの一人は取材も受けてくれるということになった。

 

f:id:hynm_rie_ehara:20161208161734j:plain1周年祝いのケーキはブランドカラーの赤

 

前日から、紹介を得る機会が急激に増え、予想外の協力姿勢に驚きの連続ではあったが、同時に紹介の概念もまた少し日本と違うことに気がついた。

割と日本では誰か紹介する場合、同席して直接きちんと紹介することが多いと思うが、アメリカの場合紹介メールを書くが、その後は自力でどうにかすること!というのが基本スタンスなのだ。パーティーなどでも、名前までは紹介してくれるが自分のことは自分で話して話題を発展させていかなければならない。当然といえば当然でもあるのだが、自分について積極的に話すことを日頃やってない人間にとって、これをひたすらやることは結構ハードルが高い。

 

あっという間に過ぎていく時間と、二度と訪れないチャンスを逃さないよう自分の意識や行動をもっと変えていかなければならないなと、パーティーの後颯爽とイエローキャブを捕まえて去っていく莉恵さんの後ろ姿を見て思った。

 

 

(つづきは以下)

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