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ヘルスケアスタートアップ Noom(ヌーム)との出会い - クラウドファンディングでニューヨークへ

2013年 ニューヨーククラウドファンディング取材記

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チェルシーのギャラリー街は、制作環境にも適した落ち着いた雰囲気がある


 

ローワーイーストサイドのairbnbに引っ越してからはじめての月曜日は、チェルシーにあるNoom(ヌーム)というスタートアップに取材に行くことになっていた。

 

ヘルステック Noomとの出会い

 

クラウドファンディングで取材のための支援を募っていた時、キャンプファイヤーに一通のメッセージが届いた。Noomという、ニューヨークのヘルスケアスタートアップで働く日本人、Yokoさんが「ぜひオフィスに遊びに来てください」と連絡をくれたのだった。私が詳しくリサーチしていたのは、基本的に一般消費者向けのサービスだったため、Noomについては連絡をもらうまで知らなかった。

Noomは、ダイエットを手助けするアプリ「Noomコーチ」をメインに作っていて、これまで健康関連の様々なサービスをリリースし、世界累計で1,800万ダウンロード(2016年現在は4,600万)されているということだった。選択課金型のアプリは、Google play健康カテゴリ内で売上1位を10ヶ月連続で達成し、日本でも知られている名門VCの一つから資金調達も受けていた。こんな会社があったのか!と嬉しいニュースだった。

Yokoさんは、すぐにメールで創業者のSaeju(セジュ)を紹介してくれ、事前に何かできることがないか取材の相談にも乗ってくれた。Saejuは、韓国から9年前に退路を断って単身ニューヨークに渡り、つても何もない状態からスタートして今に至っているのだと話してくれた。だから、私の挑戦を応援したいと言ってくれたのだった。

 

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コーポレートカラーのグリーンがアクセントのNoomのオフィス(現在はブルーにリブランディング

 

ローワーイーストサイドでまだ移動に慣れない月曜日の午前中、大事なアポイントを前になんと電車を逆走してしまった。気づけば橋を渡ってブルックリン。戻る電車も少なく、どうしても遅れてしまいそうな事態に…。ついにやってしまった!すぐにYokoさんに連絡を入れ、なんとか時間を調整してもらうことはできたが、駅から少し距離があるオフィスまで全力疾走するはめになった。余裕を持って到着する予定がとんだ大失態だ。

Noomのオフィスは、チェルシーと呼ばれるヒップなエリアのギャラリー街の中にあるらしい。ハイラインをさらに西へ移動した、マンハッタンの西の端に位置する雰囲気のあるエリアだ。元々工場などが多かった名残もあってか、車の整備工場などもあって、オフィスの手前にはテスラのショールームもあった。Noomのオフィスのビルもまたギャラリー用のビルで、エレベーターはものすごく広く、前後に扉があり動くのもゆっくりだった。


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エンジニアが働くゾーンのNoomオフィス モニターが多い

 

オフィスに到着すると、入ってすぐあるキッチンにいた女性がすぐ気付いてくれて、Yokoさんを呼びに行ってくれた。間もなくして、Yokoさんと一緒に、大きな声で「いらっしゃい!メールでやりとりしてたから友達と会う気分だ!」と創業者のSaejuがニコニコしながらやってきた。

二人に軽くオフィスを案内してもらってから、Yokoさんと一緒に働くインターンのReiさん、VPのKenを交えて、まずは招待してもらっていたオフィスのキッチンで作っているというヘルシーランチをいただくことになった。Saejuの共同創業者は元Googleのエンジニアだったこと、健康サービスを作るには職場も健康を考えた場所にしたいと、5番目の社員にシェフを雇ったのだそうだ。

生春巻きやアボガドのサラダ、スープなどをたくさん取ってミーティングルームでランチをいただく。よく考えてみると、野菜の類を十分外食で取ろうと思うとかなり高額になってしまうニューヨーク。私も到着してから、こんなにヘルシーで充実した食事を取るのは初めてだった。

 

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ランチが終わって、おやつの準備をしている様子。左が5番目の社員のシェフ

 

Saejuは、元々韓国で音楽系のビジネスで成功していた若手起業家だったが、もっと大きな舞台で勝負したいと、9年前に単身渡米しニューヨークにやってきた。ろくにいいアパートも借りられず、ブロードウェイのプロデュースなどの仕事を最初にやっていたという。その後、共同創業者のArtemと出会って、世界中の人の健康をテクノロジーを使って貢献するビジネスをやりたいとNoomの前身の会社を立上げたのだそうだ。

スマートフォンが出始めたタイミングでモバイルアプリにフォーカスすることにして、これまで歩数計など様々なアプリをリリースしているが、健康保険などの制度が充実していないアメリカで、肥満や病気の大きな原因となる食事の部分に特化したNoomコーチをリリースするに至ったそうだ。ユーザーは基本的に食事を記録するだけのシンプルなものだが、これが非常に効果が高いそうだ。同じような属性の仲間と一緒にコミュニケーションしたり、レシピや読み物などの提供もやっているが、これは優良のプランになる。(現在は専任コーチがついてくれるようになっている)アメリカ以外でも、韓国やドイツで多く利用されていて、これから日本にも力を入れたいということだった。

 

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ピンぼけだが 左からSaeju、Yokoさん、私、Reiさん、Ken

 

ランチを終えると、Saejuは今後の私の取材をどう手伝えるかということを話しはじめた。どうやら、起業家や投資家の友達を呼んでディナーパーティーを開いてくれるという話だ。それ以外にも何かあれば随時声をかけてくれるという。これまでも協力してくれる人はたくさんいたが、彼ほど親身になってくれた人はこれまでいなかったので、いたく感激した。

たくさんお土産にNoomグッズをもらって、Noom流のおもてなしに触れて最高の気分でオフィスを後にした。

 

www.instagram.com

たくさんもらったお土産

 

 

一旦アパートに帰って、メールや次のアポイント準備をする。これまであまり書いていなかったが、実は英語でメールをやりとりするのはものすごく大変だった。そもそも自分がこれまで接点のなかったカルチャーを持つアメリカの人に仕事でメールをするので、書き方一つ決めるのも一苦労。すぐに返答する必要があるだけでなく、書き方一つで結果が決まるプレッシャーもあって、このメールと準備に膨大な時間が割かれた。

新しい訪問先が決まればリサーチも必要で、オフィスの場所も様々。毎日取材した後にメモを読み直して、書ききれていなかったことを追記する。たいした量のアポがなくても、毎日があっとういう間に終わっていた。

 

夜は、日系メディアのニューヨーク支社にいらっしゃる局長や編集長などの方々とディナーをご一緒させていただくために、Time Life BuildingのCapital Grilleへ。マテリアルワールドのヤノリエも一緒に、皆さんの仕事についていろいろ聞かせてもらいながら、ニューヨーク名物でもあるステーキを堪能しながら楽しい時間を過ごさせていただいた。

ニューヨークには、まだインターネット産業を取材する日系メディはない。(現在はビジネスインサイダーなど一部が日本語化されている)それが、私がニューヨークに自分で来て発信することに決めた大きな理由だった。ある意味我流で資金調達して来た、なんの取材経験もない新米記者な私。にもかかわらず、エスタブリッシュトなメディアでキャリアを積まれている皆さんからも、私の活動を支持してもらえたのはすごく嬉しく、光栄なことだった。

 

 

つづく

ローワーイーストサイドのairbnbにお引っ越し - クラウドファンディングでニューヨークへ

2013年 ニューヨーククラウドファンディング取材記

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滞在していたかわいらしいアパート 1階にはブティックが入っている

やっと滞在していたウエストビレッジでの生活に慣れてきたところだったが、次の滞在先へ移動する日がやってきた。

 

ウエストビレッジからローワーイストサイドへ

 

実は、airbnbで1ヶ月もの間滞在できるアパートを探すのは至難の業だった。今回の滞在は、取材に少しでもつなげたい、現地のことをもっと知りたい、なるべく安くいい場所で滞在したいという思惑があったので、アパートをまるまる貸し切るタイプではなく、ホストか現地の同居人がいる場所を探していた。当然ながら、同居タイプは、受け入れるホストの審査も厳しくなる。

そもそもaibnbは、短期滞在者メインのサービスであるため、カレンダー上で空いている部屋もほとんどない。気に入った部屋のホストにコンタクトするものの、日程と条件が合うアパートは全く見つからなかった。

そこで、引っ越しの時間ロスを理由に一箇所に留まるという考えを捨てて、いろんな場所に住んでみることにした。万が一、部屋が良くなかった場合のリスク分散にもなる。

結局、3箇所押さえることができたものの、後半1週間分の滞在先が決まらないままニューヨークに来ることになった。最悪ホテルという選択肢もある。

 

airbnbでいいホストと巡り会うには、自分がいい滞在者であることが重要である。滞在者が部屋のレビューを見て予約を検討するように、ホストは滞在者のレビューを見て受入を判断するからだ。高いレビューが多ければ多い方がいい。

当然のことだが、ルールを守るだけでなく、また帰ってきてほしい、又は、他のホストにもおすすめできると思ってもらえるような態度滞在すれば、今後またサービスを使う時に自分にとってもプラスになる。初めて1人でairbnbを使った私には、このレビューが全くなかったので、予約が難航したのかもしれない。

後日、最初の部屋の使い方を気に入ってくれたホストが私に絶対また帰ってきてほしい、自信を持っておすすめする!ととても嬉しいフィードバックをくれた。私はなんとか初めてのいいレビューを手に入れることができた。

 

これから滞在するローワーイストサイドのアパートは、airbnbのおすすめスーパーホストで、すごい数の高いレビューがついていた。ウエストビレッジのアパートより場所の利便性は下がるが、物件としてはかなり期待が持てそうだった。

 

名残惜しいアパートを出てタクシーを捕まえ 、ローワーイストサイドへと向かった。エントランスには気のいいドアマンがいて、朝早く出かけていたホストの代わりに私を温かく迎え入れてくれた。「話は聞いてるよ!なんでも聞いてくれ!」と、笑顔で握手を求めてきてくれた彼に、心強さを感じた。

アパートは、のんびりできる屋上と小さなジムがついていて、エレベーターもある比較的新しい建物だった。部屋もベッドも前の部屋の2倍あり、大きなクローゼットもあった。共有部のキッチンもリビングも広々としていて清潔で、日本人には嬉しい土足厳禁だった。また、ニューヨークではめずらしい、洗濯機が部屋の中についていて、たっぷりと大きなバスタブのついたバスルームがホストとは別で専用にあった。ホストとちゃんと会って少し様子を見たら、すぐ交渉して滞在を最大まで伸ばしてもらうことに決めた。まさに理想的なアパートだった。

 

軽く荷物をほどいてから、お昼に約束があったので、急いでアパートを出た。SOHOで日本から会社の研修でニューヨークに来ているという、テレビ局のTさんとランチをすることになっていたのだ。同僚の方と3人でメキシカンを食べた後、何かスタートアップ関連のところに行きたいと言っていたTさんと、元々行きたいと思っていたニューヨークのスタートアップのショールームストアを見て回ることにした。

 

D2Cメガネブランド ウォービーパーカー

ニューヨークには、インターネット発のブランドスタートアップがたくさんある。そして、このビジネスモデルを作り出し、最初に大きな成功を収めたのが、ウォービーパーカーというメガネブランドである。(2015年には、fast companyに最も革新的な企業として1位に選ばれている)

ブランドスタートアップは、ダイレクトトゥーコンシューマー(D2C)という、その名の通り自分たちで生産したものを直接消費者に販売するビジネスモデルで、販売はオンラインをベースにしている。直接販売するため、ユーザーのニーズを取り込み、中間マージンを排除したリーズナブルな価格で顧客に訴求できるのが強みだ。インターネットで購入することに特化しデザインされた現代版ブランドとも言える。

ウォービーパーカーの場合、95ドルを基本としたリーズナブルな価格でファッショナブルなフレームを多数展開し人気を得ているが、オンラインで全て完結させることに徹底特化した通販設計がこれまでのブランドや通販と全く違う。例えば、お店に行かなくてもメガネが試着できるよう、自宅に気になったフレームを5つ取り寄せて試せるようなサービスがあることや、ソーシャルメディアを活用したマーケティング、オンラインと同じような考え方で作られたショールームストアなどがある。

 

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ウォービーパーカーのショールームストアのインテリアは図書館のイメージ

 

Tさんと一緒に、新しくできたというハイラインにあるウォービーパーカーのストアを見に行った。図書館をイメージさせる店内の本棚に、メガネがコレクションごとにきれいに展示され、自由に試着ができるようになっていた。棚の下の部分では、何種類かの本が購入できる形で展示されていたので、彼らはメガネを本のように「知」を身につけられるアイテムだと表現したいのだなと感じた。

アメリカでメガネを作るには処方箋的なものが必要である。このストアでも予約するか待てば、専任の人がその場で作成してくれるサービスもあったが、基本的に仕上がるまでに2週間程度かかるということで、私はメガネを作ってみるのを断念した。その代わりサングラスは、在庫があればその場で購入もできるということだったので、試しに一つ購入してみることにした。面白いのは購入時にiPadでアカウント登録し、そこで決済。履歴はアカウントに残り、レシートはメールで来るということだった。

 

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ウォービーパーカーのテーマカラー、ウォービーブルーのディスプレイ自転車が入り口に

 

ウォービーパーカーは、元々実物を見たいという声が多かったため、オフィスの片隅にショールーミングスペースを作ったのが発端で、ブランドの成長と浸透に合わせて、ストアをニューヨークの主要スポットに増やしていった経緯があるが、基本的に在庫は一括管理しそこから発送され、ストアでは試着とショールーミングが主目的になっている。空間を効率的に使うことで、コストを抑える方法もブランドスタートアップの特徴の一つである。

リーズナブルな価格ながら、丁寧な接客とブランドの世界観やサービスの体験を表現するストアは、顧客体験を大きく向上させることにつながっているようだ。

 

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メイカーボットのショールームストア(2016年現在は撤退)プリント用のカラフルな素材が壁に

 

取材するにあたって、ネットで見た情報だけでなく、現地調査が重要だとは思っていたが、この体験でその思いをさらに強くしたので、もう一件行ってみることにした。

家庭用の3Dプリンターと素材を販売する、メイカーボットショールームストアだ。まだまだ3Dプリンターは一般消費者の生活に浸透しているものではなく、家庭用といっても1000〜2500ドルの高額な機械なので、プリントしたもののクオリティやプリンターそのものを実際に見てもらえる場が必要と、オープンに至ったそうだ。

500円程度で買える小さなおもちゃが入ったガチャガチャがあったり、3Dプリンターで作った腕時計などの購入可能な小物の他に、科学やニューヨークをテーマにした様々なものがたくさん展示されていて、見ているだけでとても楽しかった。実際プリント中の機械を見られるのもこの場所ならではである。

 

ウォービーパーカーにしろ、メイカーボットにしろ、こんな場所はまだ日本にない。新しいものが生まれてから、実際にビジネスとして成立するまでの時間もチャレンジも、圧倒的にアメリカの方が早いのだろう。アメリカは数年先を行っている、というのは本当だなと思った。

 

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3Dプリントされたマネキンと服


MADと3Dプリンター

 

メイカーボットで未来を感じて気分を良くした私は、ジャーナリストのnobiさんおすすめの美術館 Museum of Arts and Design(MAD)にそのまま行ってみることにした。

中身が定期的に入れ替わる、美術館の展示は巡り会わせ。何をやっているかと思ったら、なんとタイムリーにも3Dプリンターを使った作品のエキシビション「Out of Hands」を開催していたのだった。

プラスチック、陶器、メタルなどの素材別のオブジェにはじまり、椅子や食器、壁を飾るインテリア用品、洋服や靴、ジュエリーなど実用的なものから実験的なものまでかなり幅広く展示されていた。

 

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3Dプリントされた美しいパンプス

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幾何学的なデザインの照明器具的なもの

 

メイカーボットに行った時は、3Dプリンターでオブジェ以外に何を作るのだろうとあまりピンと来てない部分があったが、既に着実に実用に向かって様々なものが作られていることを知ってちょっと衝撃を受けた。実用面でもデザインの面でも、これまでのものづくりの常識が変わり、全く新しいものが出てくることになるかもしれない。ワクワクする展示だった。

 

 

(つづきは以下)

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ブランチ、そしてブルームバーグ - クラウドファンディングでニューヨークへ

2013年 ニューヨーククラウドファンディング取材記

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カントリースタイルのメニューが食べられる人気のレストラン Friend of a Farmar

 

アメリカの家庭料理とビーコンの話

 

到着して5日目、初めての土曜日の朝は、数日前に挨拶程度しかできなかったTokyo New Cinemaの木ノ内さんの友人で、Sonic Notify(現在はSignal360)でビジネスディベロップメントとして働くLevが改めて会ってくれることになった。

ブランチでもどうかと、グラマシーパークのFriend of a Farmerに誘ってくれた。このレストランは、ニューヨークの農業地帯にある家のような居心地のいい空間で、田舎料理を出すニューヨークでは珍しいタイプのレストランらしい。アメリカの伝統的な家庭料理の一つ、コーンブレッドも食べられるそうだ。

 

Sonic Notifyは、ビーコンと呼ばれる人間が聞こえない音を出す機械を使って、広い場所にいる大勢の人に情報を送ることができるサービスを作っているという。例えば、通信環境の良くない野外フェスやスポーツイベントのような場所で有効なのだそうだ。自分たちでビーコンそのものも開発する、ニューヨークでは少し珍しいハードウェアスタートアップである。

 

Levは、私の取材活動のことを聞いて友達を連れてきてくれていた。彼は、ニューヨークの情報先端企業ブルームバーグで働いているという。そして、なんとこの後ブルームバーグのオフィス見学に連れて行ってくれることになった。

 

ニューヨークの情報リーディングカンパニー ブルームバーグを見学

 

まだ高校生だと言うLevの妹も合流して、一緒にブルームバーグ本社に向かうことになった。まさか、あのブルームバーグに行けるとは思ってもみなかったので、嬉しいサプライズだった。

ブルームバーグもグーグル同様セキュリティが厳しく、撮影は不可ということだった。しかし、土曜日も家族や友達にオフィスを解放して見学できるようにしているとは、驚きである。

中の様子が気になる人は、ニューヨークのメディアビジネスインサイダーの記事で少し見ることができる。

www.businessinsider.com

さすがリーディングカンパニーであるだけあって、オフィスはハイクラスな雰囲気と最先端を感じさせる少し未来的な雰囲気のあるものだった。光沢感のある白を基調としたシンプルな内装に、アーティスティックな家具が合わせてあり、ものがほとんどなくて掃除が行き届いている。

ところどころに大胆なデジタルアートや、モダンでハイセンスな花などが絶妙に配置されいて、デザインだけでなくお金のかけ方のセンスも最高にかっこいいと思った。また、あちこちに株価などのブルームバーグの情報端末が設置してあり、どこでもすぐ商談したり、マーケットについて話せるような雰囲気になっていた。

 

ブルームバーグの創業者であるブルームバーグは、ニューヨーク市長となってニューヨークのスタートアップシーンを大きくバックアップした業界の立役者である。彼がリーマンショックで傾いたニューヨークに、インターネット産業の成長をサポートしたことで短期間に全米第二位の規模のスタートアップの集積地ができあがったのだ。

 

www.instagram.com
ブルームバーグでもらったドリンクカップにはいろんな言語でメッセージが

 

全て無料だというスナックや飲み物はゲストにもそうらしく、私達はまったりお茶を楽しみながら午後めいっぱいオフィス見学を楽しませてもらった。

 

初めてのセントラルパーク

 

夕方からは、日本の大手商社でニューヨーク駐在しているというIさんに会いに出かけた。ニューヨークを知るため、いろんな場所をまわりたいと考えていた私は、冬目前のセントラルパークで会わせてもらうことにした。

 

商社での駐在は基本的に最大で3年、昔と違って今は駐在員の数がかなり絞られているので、一人でいろんなことをやっていかなければならないらしい。また、大手商社では投資先や既存事業に関連する事業も幅広いため、業務も多岐に渡るようだった。

 

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セントラルパーク内、最も南にある広場

 

Iさんの働く大手商社の投資先の一つが、ニューヨークで大きく話題になっていたスタートアップの一つであったため、私の活動をネットで見て連絡をくれたということだった。ニューヨークはつながりがあれば、参加可能なスタートアップイベントが多いということで、何かあれば誘ってくれるということになった。

 

セントラルパークを軽く見て満足した私は、そのままIさんのおすすめで、ついに携帯を購入しにAT&Tへ向かった。日本でSIMフリースマートフォンがまだなかったため、いろんな人のアドバイスを受けて、アメリカで安い端末を買ってプリペイドで使ってみることにしたのだ。

 

アメリカの生活で、いわゆるテキストメッセージと電話でコミュニケーションを取るのが一般的なのは、データプランが高額であることが理由の一つだと思う。通話とテキストだけは定額内で使い放題と割安だが、データ通信はちょっと動画を見るとすぐに通信制限がかかってしまうという感じでコストパフォーマンスが悪い。そもそもデータ通信を携帯に入れていない人も少なくないようだった。

ちなみに、地下鉄は電波が入らないため、SNSを見たり、オンラインでゲームをしたりといったこともできないので、日本の電車内の環境とはかなり違う。

 

変わったものを試してみたい、電話とテキストメッセージができればいいという判断で、ちょうどこの時安くなっていたウィンドウズフォンを選択してみた。(結局安いだけあってか、あまり使えなかったのだが…苦笑)

 

明日はいよいよ、次のairbnbのステイ先に移動する。

 

 

(つづきは以下)

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グーグルニューヨークに潜入! - クラウドファンディングでニューヨークへ

2013年 ニューヨーククラウドファンディング取材記

f:id:hynm_rie_ehara:20161209145907j:plainグーグルニューヨークの真向かいにある人気の商業施設、チェルシーマーケット

 

ニューヨークに到着して初めての金曜日、ウェストビレッジを拠点に取材活動するのは今週が最後になる。そんな今週最後のアポイントは、あのグーグルだ。ニューヨークのスタートアップシーンの全体像を知るには、こういう大企業の取材も欠かせない。とはいえ、規模が大きくなるとセキュリティや広報ルールなどが厳しくなるため、取材やアポを取るのも一苦労である。

今回は、幸運にもグーグル本社で働く川島さん(現在はポケモンGoを作るNiantic所属)からの紹介で、ニューヨークに勤務する同僚Tobsの案内で中を見せてもらえることになったのだ。

 

巨大IT企業のニューヨーク拠点を見学

 

滞在先から歩いて10分程度、複数路線が乗り入れる便利な14st駅のすぐ近く、チェルシーと呼ばれるおしゃれなエリアにグーグルニューヨークはある。

フラットなコミュニケーションを好むIT企業は、できるだけ階を分けずに広い場所をオフィスにすることを好む。そこで、グーグルはニューヨークで最も広いビルの一つを所有することにしたそうだ。その広さはなんと27万平米!地図を見てもらうと分かりやすいが、8番街から9番街、15丁目から16丁目まるまる1区画を使った貴重なビルである。

 


1区画まるまる使っている様子がよく分かる

 

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建物に合わせたシックなロゴを掲げるビルの外観 1階は商業施設になっている

 

f:id:hynm_rie_ehara:20161209031841j:plainGoogle NYCの1階受付 ネオン管のサインがかっこいい

 

1階の受付で身分証を提示し、アポイントの予約を確認する。顔写真のプリントされた入館証をもらってオフィスのある階へ向かい、約束していたTobsと落ち合ってオフィスで、チェックインを行った。

残念ながらオフィス内の撮影は禁止だったので、中の様子に興味がある人はオフィシャルページのリンクから見てみてほしい。

 

ロケーションごとに、地域に合わせたオフィスデザインをしているというグーグル。このオフィスでは、そのままニューヨークの街をコンセプトにしているそうで、私が見せてもらった階では地下鉄っぽいインテリアで統一され、雰囲気の違うミーティングスペースがいくつもあった。本社と同じようにゲームルームやカフェテリアもあって、全て無料で利用できる。

印象に残ったのは、様々なコンピューターの歴史を展示したスペースである。例えば初代のアップルコンピューターなんかも展示してあり、コンピューター業界へのリスペクトと愛が感じられる素晴らしい場所だった。

 

グーグルニューヨークには、2000人ぐらいが働いていて、そのほとんどが営業だということだった。世界最大級の都市ニューヨークは、営業拠点として非常に重要である。ちなみに、同じような理由で東京オフィスも規模が大きく、多くの営業が働いているそうだ。

 

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カフェテリアのテラス席からの眺め エンパイアステイトメントビルが真ん中に

 

その後、おいしいと評判のグーグルのランチをごちそうになりながら、案内してくれたTobsにいろいろ話を聞いた。彼は、営業ではなくインフォメーションアーキテクトという情報設計をする職種で、元々イギリスでこの分野について学び、ヨーロッパでキャリアを積んでからアメリカに来たということだった。

彼は唯一撮影可であるテラスに案内してくれて、素晴らしい眺めを見せてくれた。

 

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植木で作られたGoogle文字前にて

 

忙しい中案内をしてくれたTobsにお礼を伝えてから、アップタウンの方へ向かった。到着翌日に会ったさとこちゃんが、取材に協力してくれそうな友人を紹介してくれるという。

 

金曜の夜のサプライズディナー

 

待ち合わせのPerk Kafeは、こじんまりとしたかわいらしいカフェだった。おいしいコーヒーショップが多いニューヨーク。オフィスに行くのも楽しいが、いろんなカフェを巡れるのもこの旅の楽しみの一つになった。

ここで紹介してもらったのは、日本の広告代理店の関連IT会社でニューヨークで働いているゆうさん。個人的にいろんなイベントに行ったりなど、スタートアップ関係にも詳しいという。ところで、ほんとにニューヨークで会う日本人女性は皆、笑顔がとても素敵だ。元々かもしれないが、環境の影響だったらすごいいいことだなと思った。

実は私がアメリカを訪れるのは、10年以上ぶり。英語にも少し不安があったので、さとこちゃんの提案でタイミングが会えば通訳などを手伝ってもらうことを出発前に相談していた。結局、取材が平日の昼間だったりの調整も難しそうだというのと、いくつか取材してみてなんとかなりそうだったので、何かイベントがあったら案内してくれるなどの形で協力してくれることになった。

 

この日の夜は、さとこちゃんがニューヨークにいる、彼女の知っている日本人IT関係者を集めた夕食会を開いてくれるという。カフェを出た後、一緒に会場であるインド料理屋Spice Symphonyに向かった。

この日集まってくれたのは、エンジニアの山崎さん、小山さん、西嶋さん、それからこの日たまたまニューヨークを訪れていた日本IT企業で働いているまいちゃん4人。ニューヨークでまだ新しいインターネット関係の仕事に就いている日本人はほとんどいないということで、たまにこういうメンバーで集まっているという。

確かに日本育ちの日本人同士でしか分からないようなこともあるだろうし、アメリカに移って普段ローカルな環境で暮らしていても、こういう仲間は大事なんだろうなと思った。

 

結局それぞれ何をやっているかなどを話しているうちにあっという間に時間は過ぎてしまい、1週間をなんとか終えた安堵感もメンバーからの温かい歓迎ムードもあって、あっという間に酔っぱらってしまった私なのであった。

 

 

(つづきは以下)

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ニューヨークの日本人起業家と出会う - クラウドファンディングでニューヨークへ

2013年 ニューヨーククラウドファンディング取材記

f:id:hynm_rie_ehara:20161013010649j:plain気持ちのいい朝、ニューヨークにはイエローキャブがほんとによく似合う

 

ランドセントラルでハードウェア系スタートアップと出会う

 

前日、Tokyo New Cinemaの木ノ内さんにいろいろお世話になった私。この日の朝も、スタートアップで働く友達と朝食することになったので一緒にどうかと誘ってもらった。

指定された場所は、ニューヨークから地方や他州への長距離路線が乗り入れるグランドセントラルの駅にあるPershing Square。クラッシックな雰囲気のダイナーは、駅の高架下にあるため、忙しいニューヨーカーと観光客でにぎわっていた。

やりとりがうまく行かず到着が遅れてしまった私は、残念ながらSonic Notify(現在はSignal360に改名)でビジネスディベロップメントとして働くLevとは挨拶くらいしかできる時間がなかったが、嬉しいことに木ノ内さんが私の滞在中どこかで話ができるよう繋ぎ直してくれることになった。

 

映画業界で働く人の友達がことごとくスタートアップで働いているだなんて、出発前に想像できたであろうか…。どこでどんな縁に繋がるのか分からないものだ。

しかし、後に気付くことになるのだが、それくらいニューヨークでスタートアップシーンが急成長し地位を確立しつつあるということだろう。東海岸のハイレベルな大学を出た多くの理系やビジネス系の学生は、狭き門である第一希望の大企業への内定が得られなかった場合、どんどんスタートアップを志向するようになってきている。若いチーム、自由なワークスタイル、多様で楽しさのあるカルチャーを持つスタートアップは、ニューヨークで働きたい若者にとって理想的な職場とも言える。

 

アート業界で挑戦する日本人起業家 藤高さん

この日帰国するというTokyo New Cinemaの木ノ内さんと映画監督の中川さんと別れ、ランチの約束のためダウンタウンに向かった。ニューヨークで上位に入るハイセンスなホテルで、その名の通りBowery通りに面したバワリーホテルの1階にあるレストランGEMMAが待ち合わせの場所だった。

ちなみにニューヨークのホテルのレストランやカフェ、バーは、ホテル滞在者でなくても利用できるオープンなものがほとんどで、どこも割と価格はリーズナブルでハイセンスなのでおすすめである。

 

ニューヨークアートビートというアート情報メディアを運営する藤高さん(現在藤高さんはスマートニュースにジョインし、奥さんがメディアを運営)は、東京のアート情報メディアである東京アートビートの創業者の一人で、結婚を機にニューヨークに移住し、同じようなメディアのニューヨーク版を立上げたそうだ。

アートの本場ニューヨークで、アウトサイダーである日本人がメディアを立上げるというのは、非常に野心的な挑戦だ。実際、なかなか中に入れず苦労することも多かったそうだ。彼もニューヨークに来たばかりのころは、スタートアップ系の人ともっと交流があり、いろいろ一緒にやろうとしたりしたそうだが、結局アート業界の日本人からの需要が大きくなり、コーディネートや企画などリアルな仕事の割合が大きくなっていったそうだ。

 

f:id:hynm_rie_ehara:20161207155054j:plainアート関係者が運営しているハイセンスなシェアオフィス

 

ランチの後は、すぐ近くにあるという藤高さんが入居するシェアオフィスを案内してくれた。アート関係者が運営しているというオフィスには、ビンテージな家具や置物がセンス良く配置されていて、とても素敵な空間だった。一つ一つの本や小物にもこだわりがかなりあるらしく、貴重なホールアースカタログなんかも置いてあった。前日訪問したto.beのオフィスもそうだったが、こういう空間に刺激を受けて働ける環境は日本にももっと増えるといいと思った。

久しぶりにスタートアップの話題をしたという藤高さん、誰か紹介できるかもしれないということで、久しぶりに昔付き合いのあった知り合いに連絡を取ってみてくれることになった。少しでも多く取材できないと帰れません!助けてください!という私の必死さもあったかとは思うが、ここでも「自分ができることは応援しますよ」というペイフォワード的な態度に触れてとても感激した。

 

f:id:hynm_rie_ehara:20161207144728j:plainグラフィティだらけのオフィスの入り口に立つ藤高さん

 

すっかり話し込んでしまった藤高さんと別れて、次の予定までは一旦滞在しているウエストビレッジに向かって歩きながら街を散策することにした。ニューヨークはどこへ行っても共通の雰囲気があるが、同時にエリアによって雰囲気が全然違うのも面白いところである。

うっすらハロウィン色に染まった街を歩くのはとても楽しい。ニューヨーク大学の近くやハロウィン限定の仮装グッツ屋さんなどを覗いて次の目的地を目指した。

 

ファッション業界で挑戦する日本人起業家 矢野莉恵さん

ニューヨークのスタートアップシーンを取材するプロジェクトを立上げてから、絶対に会った方がいいと何人もから紹介をもらった人がいる。ハーバードビジネススクール時代の友人とファッションスタートアップMaterial Wrld(マテリアルワールド)を立上げた矢野莉恵さんである。

三菱商事就職後、MBA取得のため渡米し、そのまま米国のCoachでデジタルマーケティング局でキャリアを積んでファッションビジネスで起業したという女性起業家だ。拠点もターゲットもニューヨークの競合スタートアップと全く同じ、チャレンジングな分野で挑戦する数少ない日本人でもある。

 

f:id:hynm_rie_ehara:20161207144733j:plainMaterial Wrldのオフィスの一角(現在ロゴ等、ブランディングは一新されている)

 

Material Wrldは、C2Cで共有したクローゼットの中身を購入できるというサービスでスタートしたが、思った通りに成長させることができず、その後試行錯誤をした上で、古いブランドアイテムを引き取って新しいものを購入できるクーポンに変えるという方法に手応えを感じ、それを伸ばす方向で動いているということだった。やっと少しづつ在庫を持つということをはじめ、初めて単独オフィスを構えることができるくらいになったそうだ。(2016年現在、このピボットした戦略で見事に成長している)

 

Material Wrldについて話を聞いた後、彼女にニューヨークのスタートアップのトレンドについても聞いてみた。自分も相当いろんなことを調べて現地に向かってはいたが、やはり現地現役の情報の鮮度や質は違う。狭い住宅環境を快適にするための出し入れが容易なリアル版ストレージサービスMake Spaceや、1回分の食事用だけの材料を特殊な調味料を含めて送ってくれるレシピ付きのBlue ApronPlatedなどのデリバリーサービスなど、ニューヨークのライフスタイルに合わせて多様化したオンデマンドビジネスが一つのトレンドになっているようだった。ハイタッチでフレキシブルなサービスが、忙しい都市生活者に受入れられているのだそうだ。

そして、この後なんとそのスタートアップの一つPlatedの1周年記念パーティーに連れて行ってくれるという。

 

f:id:hynm_rie_ehara:20161208161730j:plainPlated の入居する素敵すぎるシェアオフィス

 

矢野莉恵さん、Material Wrld 共同創業者のJieと一緒に、昔同じオフィスだったというPlatedが入居する新しいオフィスへと向かった。

さて、実は日本でもパーティーと異業種交流が苦手な私…。スタートアップ関係者で溢れかえり、早口の英語で盛り上がる会場に圧倒される一方で、彼女達は次から次へといろんな人と楽しそうに談笑しており、アメリカでやっていくにはこういうコミュニケーションが最低でも取れないとダメだなと、一気に重たい気持ちになった。

それでも、何人かと話をすることができ、そのうちの一人は取材も受けてくれるということになった。

 

f:id:hynm_rie_ehara:20161208161734j:plain1周年祝いのケーキはブランドカラーの赤

 

前日から、紹介を得る機会が急激に増え、予想外の協力姿勢に驚きの連続ではあったが、同時に紹介の概念もまた少し日本と違うことに気がついた。

割と日本では誰か紹介する場合、同席して直接きちんと紹介することが多いと思うが、アメリカの場合紹介メールを書くが、その後は自力でどうにかすること!というのが基本スタンスなのだ。パーティーなどでも、名前までは紹介してくれるが自分のことは自分で話して話題を発展させていかなければならない。当然といえば当然でもあるのだが、自分について積極的に話すことを日頃やってない人間にとって、これをひたすらやることは結構ハードルが高い。

 

あっという間に過ぎていく時間と、二度と訪れないチャンスを逃さないよう自分の意識や行動をもっと変えていかなければならないなと、パーティーの後颯爽とイエローキャブを捕まえて去っていく莉恵さんの後ろ姿を見て思った。

 

 

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いきなり訪れた予想外の展開 - クラウドファンディングでニューヨークへ

2013年 ニューヨーククラウドファンディング取材記

f:id:hynm_rie_ehara:20161110132540j:plain彫刻作品がたくさんあるMoMAの中庭

 

素敵な公共図書館を出て、気分が良くなった私は、その足でニューヨーク近代美術館MoMAに向かった。

 

初めてのアート体験 ニューヨーク近代美術館 MoMA

 

ダンなアートとフラワーアレンジメントでセンス良く彩られたエントランスを抜けると、気持ちのいい吹き抜けが広がっていた。ガラスの向こうには、彫刻作品が展示されている美しい中庭が続いており、建物に入ってから既にこの場所の虜になりつつあった。

美術館の最上階である6階で、ちょうど空に浮いた岩などシュールな作品で知られるマグリッドの特別展をやっていたので、そこから下に降りながらまわってみることにした。

ピカソゴッホ、モネ、シャガールマティスといった誰もが知っているような有名な画家の作品が至る所に展示されているだけでなく、モンドリアンなどのミニマルアート、ニューヨークを代表するポップアートの旗手アンディ・ウォーホルの作品が大量に展示されており、想像をはるかに超えるボリュームと質の作品群に感嘆の連続だった。

 

出発前、ニューヨークを知るために、何人もの人にアート関連の場所も絶対行った方がいいとアドバイスをもらっていたが、なぜ行くべきかやっと行ってみて分かった。アートがこの街の人に与える影響というのは、とてつもなく大きいのだ。

 

高揚した気持ちのまま一旦帰宅し、しばらく繋がってなかったネットに接続してあることに気がついた。 なんとこの日もう一件、人と会う予定を入れていたのだった…!映画祭に作品を出すためにボストンとニューヨークに来ているという映画制作会社の人だった。痛恨のミス!すぐさまお詫びの連絡を入れると、良かったら明日の朝朝食でもどうですかと快くリスケに応じてくれた。

 

翌朝、約束を取り直した映画制作会社Tokyo New Cinema社長の木ノ内さんと映画監督の中川さんの滞在するホテルまで向かった。このお二人も全くの初対面。偶然何かで知って私のプロジェクトを支援してくれたというPRの杉山さんが、同じタイミングでニューヨークにいる二人を紹介したいと繋いでくれたのだった。

ホテルで朝食を食べながら、軽く自己紹介し、私のプロジェクトについてもきちんと説明した。木ノ内さんは、生まれは北海道ではあるものの、大半の学校生活はボストンでつい最近までハーバードで網膜の研究をしていたという興味深い過去を持つ人だった。また、映画を既に2本制作している中川さんはなんとまだ学生ということだった。若くして独自の方法で映画業界で奮闘する二人におおいに刺激を受けた。

 

空き時間でも気軽に行けるメトロポリタン美術館

 

朝食後、メトロポリタン美術館(THE MET)に行く予定だった二人は、それにも一緒にどうかと誘ってくれたので、同行させてもらうことにした。

f:id:hynm_rie_ehara:20161110132621j:plainとても美しいメトロポリタン美術館の吹き抜け彫刻展示スペース

 

建物そのものがドラマチックで壮大なメトロポリタン美術館。クラッシックなエントランスには、建物に見事にマッチした花が豪快に活けてある。そのスケールに圧倒されつつ中に入る。

メトロポリタン美術館の入場料は、美術館の希望額ベースで提示されてはいるが、自分のその時々の事情に合わせて好きな金額で入ることができる。アートになるべく多く広く深く触れてもらうために取られたこの料金システム、本当に素晴らしいと思う。実際この日午前しか時間がなかった私も、高い入場料を払って行くのをためらっていたので、このシステムのおかげで助かった。

あらゆる時代の地域や文化を網羅した幅広いコレクションを持つメトロポリタン美術館は、きっちり回ると数日かかるとも言われている。私達は、ギリシャサイドからまわることにした。テーマごとに分けられた美しい彫刻作品は、異なる趣向を凝らされた空間に見事にマッチしており、まるでその時代にいるかのような気分になった。ギリシャを見終え、少し現代アートを見た頃に私はタイムアウトとなり、この旅初めての取材先へと向かった。

 

ニューヨークスタートアップへの初取材

 

はじめての取材は、to.beというインターネットコラージュサービスをリリースしたばかりのスタートアップだった。画像や音楽、動画などをWEB上の巨大キャンバスに自由にコラージュできるというものだ。感覚的なインターフェイスと、ユーザーによって作りだされたユニークな作品群に触れて、ニューヨークでしか生まれないタイプのスタートアップの一つなのではないかと、どうしても会ってみたかった。

彼らとは全く接点がなかったので、サービスを使いまくってフィードバックを送ったり、自分で作った作品をtweetしたりして相手の反応を待ち、反応が返ってくるようになった時を見計らって、取材させてほしいという打診をしてみたところ快諾してもらうことができたのだった。

 

f:id:hynm_rie_ehara:20161206154757j:plaindis magazineとのコラボレーションリリース日で忙しそうなto.beのオフィス

 

マンハッタンは、ダウンタウンの東側、イーストビレッジと呼ばれるところにオフィスを構えるto.be。小さくてチャーミングな公園、トンプキンソンズスクエアパークの傍に立地している。

はじめてのニューヨークスタートアップの訪問とあってかなり緊張していた私だったが、創業者のNickは私をあたたかく迎え入れてくれた。

 

取材については、知りたいことがたくさんあったのであまり不安はなかった。基本的に創業者のこれまでの仕事やバックグラウンド、どうやって着想を得たのか、どういう風にユーザーを集めているのか、開発で心がけていることなどをベースに、対話の中で気になったことを聞いていった。

Nickは、イギリス系スペイン人で元々は弁護士だった。また、過去に日本で音楽系のプロデュース会社を経営していたこともあったそうだ。その後ニューヨークに移住し、to.beの開発にあたってニューヨークの有名シード投資会社から資金を集めてスタートアップをはじめたそうだ。

to.beに関しては、日経ビジネスのコラムでこの時のことを詳しく書いているので良かったら読んでみてほしい。

business.nikkeibp.co.jp

彼と話をして最も印象に残ったのは、テキスト(文字)での表現が得意な人に圧倒的に利があるインターネットの世界を、もっとビジュアルが得意な人達が活躍できるように変えたいというものだった。こういう角度からサービスをデザインする

やっぱり来て良かった、来ないと分からないことの方が圧倒的に多いと実感した。

Nickは、好きなだけいていいし、写真も自由に撮っていいよと言ってくれたので、しばらく彼らの仕事する様子を見学させてもらうことにした。ちゃっかり、ランチにピザまでごちそうになった私。また、帰り際には、私のプロジェクトを手伝おうとなんとNickおすすめのスタートアップ関係者に紹介メールを書いてくれるという。

来る前、3つしかアポが取れていなかった私には思ってもない申し出だった。しかも、彼が口にしたのは私が会ってみたいスタートアップだったのだ!

 

加速する予想外の展開 ボストンのスタートアップとの出会い

 

最高の気分で最初の取材を終えた私は、そのまま歩いてダウンタウンの中心地であるユニオンスクエアを散策することにした。現地の日本人が集まる映画のイベントに軽く顔を出した後、午前中に会っていた木ノ内さんから、おそらく今夜食事する大学寮が同じだった友達がスタートアップで働いてるらしいので一緒にどうかと連絡をくれた。

レストランに向かうと、そこにいたのはFlight Carという空港に置いてある車をシェアするサービスの共同創業者の一人であるShriだった。(Flight Carは2014年にシャットダウン、技術はメルセデス社に売却している。)Y Combinatorに参加し、Flight CarのCTOとしてボストンで開発をしているという彼は、なんとまだ19歳だった。

当時、airbnbuberくらいしか知らなかった私だが、アメリカではシェアリングエコノミーが多様化し、市場規模のスケールが違うマーケットもまた多様に存在することを知った。これもアメリカに来ないと気付かなかったビジネスの一つである。

 

来るまで一人も知り合いがいなかったニューヨークで、ボストン時代の話を聞いたりしながら、一緒に楽しく食事をしている自分の状況が信じられないような感じで、少し面白くも思えた。

あっという間に誰かに繋がったりと、嬉しい予想外の展開が連続した滞在3日目だった。いよいよ楽しくなってきた!

 

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airbnbで取材生活開始 - クラウドファンディングでニューヨークへ

2013年 ニューヨーククラウドファンディング取材記

f:id:hynm_rie_ehara:20161014145108j:plain遊歩道がビーチ沿いに続くブライトンビーチ

 

ニューヨークのスタートアップを取材するためのクラウドファンディングが、予想以上の反響で成功し、多くの人の応援を受けるかたちで日本を出発した私は、初めてニューヨークの地に足を踏み入れた。

早朝に到着してからまず私は、airbnbのホストから鍵を受け取るために、イエローキャブでブルックリン最南端に位置するブライトンビーチへ向かった。ホストは料理系のライターで、普段はマンハッタンで女性3人で共同生活していて、時々アパートの自分の部屋を空けてairbnbで人に貸し、その間気持ちのよい場所を借りて執筆活動をしているということだった。

初めての目的地が秋のニューヨークのビーチ!海辺を散歩しながら、最初から予想外の展開に、これから始まる予測不能な日々を想像してますます期待が高まった。

 

ウエストビレッジ滞在先のアパートの近くの風景

 

最初の滞在先に選んだのは、ローワーマンハッタンの西側にあるウエストビレッジ。あの映画やドラマでよく見る外に階段のついたアパート、タウンハウスが立ち並び、建物の趣を活かしたセンスのいいお店やレストランが集まる閑静なエリアだ。タウンハウスと木々が作り出す風景がなんとも素敵で、うっとりさせられる。最寄りは様々な路線が乗り入れている利便性の高い駅で、SOHOにも徒歩圏内の抜群の立地と、古き良きものと新しさが同居する貴重な場所だ。

私の滞在するアパートもブティックの上にあって、4.5畳程度の小さな個室が私の部屋だった。共有のキッチンとダイニング、シャワーだけのバスルームがあって、シャワーはルームメイトの一人と共有。シンプルなワードローブと、街の雰囲気とどこか似通った感じの趣味のいい小さなアパートから、私の取材活動はスタートした。

 

ニューヨークのスタートアップについてはある程度知識があった一方、ニューヨークそのものについてほとんど何も知らないまま慌ただしく日本を離れてしまった私。アメリカ本土にやってきたのも、観光以外で訪れるのも15年以上ぶりだった。

近所を散策し、なんて素敵なところなんだ!と感激した一方、たった一人で知り合いが全くいない場所にやってきたことが無謀に思えてきて急に少しだけ不安になった。

 

仮眠を取った後、はじめての予定に向けて支度をはじめた。こんなこともあろうかと、ニューヨークに9年住んでいるという友達の友達と食事する予定を初日の夜に入れていた。

彼女は、ありがたいことにアパートの下まで向かえに来てくれるという。到着の知らせに下に降りて行くと、キラキラした笑顔の女性が待っていた。彼女は、あっという間に私の緊張感を解いてくれ、近くのおいしいと評判のイタリアンへと案内してくれた。

彼女の名前はあずみちゃん。主にファッション誌向けのライターをやっていて、自分で映画を作ったりもしているという。9年も住んでいるという、ニューヨークの生活に関していろんなことを教えてもらいつつ、作っている映画の話や恋愛の話など、常に行動し続ける彼女に刺激を受けまくり、とにかく話がつきなかった。彼女は、全くスタートアップとは接点がなく、何も役に立てないけどりえちゃんなら絶対大丈夫!と言ってくれた。初日にこんな存在ができたことは、本当にラッキーだった。

 

翌朝、シャワーを浴びてから、料理系ライターであるairbnbのホストがおすすめしてくれた、Clunyで朝食を取った。West Villageの良さを凝縮したような雰囲気の場所でベーグルサンドをいただく。おしゃれで行き届いたサービスをしてくれるウェイターが、私の気分をより盛り上げてくれた。

秋晴れの気持ちよい日、そのままそこから歩けるハイラインへ向かうことにした。ハイラインは、廃線にになった線路を活用した空中公園で、マンハッタンの西端側、ミートパッキングと呼ばれるトレンディなホテルやショップが集まるエリアから、北に線路に沿って作られている。遊歩道沿いにはたっぷりと様々な草花が植えられているだけでなく、ところどころにアートが置かれたり、趣向が凝らされた休憩所やベンチが随所に配置されており、西側のハドソン川と東側のマンハッタンの景色と共に、歩くたびにその変化が楽しめる最高の散歩のための公園である。

f:id:hynm_rie_ehara:20161108165321j:plain様々な草花が遊歩道を彩る。右端下など、ところどころに鉄道の跡が残る

f:id:hynm_rie_ehara:20161108165314j:plainエンパイアステートメントビルと老舗ハイラインホテルが見えるお気に入りのスポット

夢中で写真を撮りながら、散歩を楽しむこと1時間。茶色い建物が立ち並ぶビル群の間を黄色いタクシーが忙しく走り抜ける様子をあちこちで見て、なるほどこれがよく見るニューヨークの風景かと、心にしっくりきた。

 

それからお昼は、今回の取材に協力してくれるというニューヨークに住む日本人女性と会うためにコリアンタウンに向かった。この時点ではまだ携帯通信環境がないままで、待ち合わせ場所が主要な場所ではない交差点という、日本だとあまりない指定に不安いっぱいだったが、すんなり会うことができた。

起業準備中のさとこちゃんは、これまた笑顔が素敵な女性だった。

ランチに連れて行ってもらったのはコリアンデリで、特に何か素敵というわけではなく、割とおいしく安くてチップいらない最高にコスパのいい場所であった。なるほどこうやってやりくりするのか、と、その日の朝食に3,000円近く支払って財布を心配していた私は生活のこつを学ばせてもらった。

さとこちゃんは、他にもニューヨークのテック系で働く日本人とつながりがあり、その人達ともつなげてくれるという。取材ターゲットにしていたような企業で働いている人はいないようだったが、ニューヨークに住んでいる数少ないテック系の日本人がどういう生活を送っているかも参考になると思ったので、とてもありがたい。また紹介の機会を調整して連絡をくれるということで、解散した。

 

その後、さとこちゃんに教えてもらった、公共図書館へ向かった。ハリーポッターの世界のような図書館が、無料で見学もできるという。

 

f:id:hynm_rie_ehara:20161109023632j:plainゴージャスな図書館の中。アメリカの社会保障番号があれば、外国人でも利用できるそうだ

 

ここまで、順調に予定をこなしてきた私。この後、初めてやらかしてしまうのである…。

 

(つづきは以下)

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